大判例

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東京地方裁判所 昭和27年(ワ)8322号 判決

「(一)地上権の存続期間を分割して譲渡した場合は、この地上権そのものは分割されないのであつて、ただその同一の地上権がその期間毎に分割譲渡を受けた者に引き継がれるだけに過ぎない。即わちその分割譲渡を受けた者はその期間中は前主と全く同一の権利を行使し得るのであり、その期間が満了すれば、次の期間の譲渡を受けた者にその地上権がそのまま移転し、その者においてその地上権全体を行使し得るわけである。かような法律関係は権利の一部の分割譲渡のように見えても、実は権利全体の譲渡であつて、ただその譲渡契約に民法第百三十五条第二項にいう期限としての終期が付いているものと解するのが相当である。

(二)本件譲渡契約はさきに説明したとおり地上権の存続期間を分割して譲渡したものでなく、地上権を全体として譲渡し、ただその譲渡契約に期限たる終期を付したものであるから、右譲渡契約は終期の到来によりその効力を失い、地上権は当然にもとの譲渡人に復帰したのであつて地上権そのものは消滅したのではないのである。借地法第四条及び第六条はいずれも地上権が消滅した場合における契約更新に関する規定であり、また右規定により更新される契約は地上権設定契約(賃借権が消滅した場合ならば賃貸借契約)であるべきで地上権の譲渡契約ではないことはその文理上明かであるから、右のように地上権の消滅はなく、その移転があつたに過ぎない本件においては、地上権設定者と地上権譲受人との間に右譲渡契約に付した終期の到来による土地の使用関係につき右法条が適用される余地のないことは極めて明らかである。また譲受人が譲渡を受けた地上権は、譲渡人がさきに原告から設定を受けた地上権であつて、譲受人が右の譲渡契約の際に新に設定を受けたものではないから借地法第十七条によるも右地上権の存続期間が譲渡契約の日から二十年となることはないことはいうまでもない。(次に)譲渡人は譲受人に対し本件地上権を譲渡するに当りその譲渡契約に終期を付したものであるから右譲渡によつて地上権を失うとはいうものの、期限(終期)が到来すれば再び地上権を回復して地上権者になり得るという一種の期待権を有していたのであつて、いわば潜在的な地上権者たる地位を有していたものといえる。そこでかような譲渡人の地位に着目して譲渡人がこの潜在的地上権者として譲受人に対し本件土地の使用を許容したとみて、この関係をあたかも地上権者がその地上権の目的たる土地を他に賃貸した場合と極めて類似するから譲渡人と譲受人との間に借地法の適用があるという見解が起るかも知れない。しかしながら地上権者がその地上権を譲渡した場合はたとえその譲渡契約に終期が付されていて、終期の到来により地上権が当然もとの地上権者に復帰し、再び地上権者となり、また終期到来前においてはこれが期待権を有しているとはいえ、地上権そのものが一旦譲受人に移転するのであるから、譲受人は右地上権の取得につき登記を経る限り直接地主に対してその地上権の取得を対抗し得るのであつて、譲渡人と譲受人との間には賃貸借関係と同様の法律関係の入りこむ余地はないのである。すなわち譲渡契約後(但し終期到来前)は地主と譲受人、その終期到来後は地主とさきの譲渡人とがいずれも土地所有者と地上権者という立場で直接に向き合つているのであつて、地主の下に地上権者があり、更にその下に賃借権者があつて、地主と地上権者地上権者と賃借人という関係が重なつて存するのとは異つているのである。(従つて前記見解を容れる余地はない。)」

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