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東京地方裁判所 昭和27年(行)181号 判決

原告 富士鉱業株式会社

被告 社会保険審査会

一、主  文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

二、事  実

原告訴訟代理人は「健康保険法、厚生年金保険法に基く徴収金滞納処分についての原告の審査申立は立たないものとする旨の被告の昭和二十七年十月三日附審査決定を取消す。訴訟費用は被告の負担とする。」旨の判決を求めると申立て請求の原因として、

「原告は福島県白河地方に炭鉱を有し石炭採掘業を営んで居たものであるが、訴外厚生大臣より福島県における健康保険料、厚生年金保険料の徴収を委任されて居た訴外福島県知事は原告が昭和二十四年十一月より昭和二十七年一月迄の間に福島県内の従業員より徴収した健康保険料五十二万千三百八十九円五十銭、厚生年金保険料二十六万八百十八円五十銭を滞納して居るとして、右滞納保険料とこれらに対する延滞金十九万八千九百三十円並に督促手数料百五十円(以上合計九十八万一千二百八十八円)を徴収する為に昭和二十七年四月一日原告の所有せる別紙目録記載の鉱業財団を差押へ、同年四月二十八日右財団を入札の方法を以てする公売に付し、入札者訴外若山甚八郎に対し代金百四十五万円で売却する旨の公売決定をした。よつて原告は昭和二十七年六月二十三日右公売処分を不服として被告に対し審査請求をしたところ、被告は同年十月三十日原告の審査申立は立たないものとする旨の審査決定をなし、これを原告に通知して来た。

然し乍ら、(一)原告は本件公売に先立ち、昭和二十七年四月二十七日福島県保険課徴収係長佐久間雄三に本件財団公売の執行の猶予方を求めたところ、佐久間雄三はこれを承諾し、本件財団の公売を猶予することとしたものである。仮にその猶予がなかつたとしても、福島県知事は本件財団を九十八万円と評価して公売に附したのであるが、その評価額の通りの入札があつたとしても福島県知事が決定した本件財団の最低公売価格九十八万五千円に達せず又該価額を以てしては前述の滞納金等の徴収としては不足となることも考えられるのに対しその公売の執行を猶予し原告に炭鉱の経営を継続せしめておけばその営業利益よりする前述の滞納金等の納付の如きは極めて容易なことであるから、本件滞納金等の徴収の為には直ちに本件財団の公売を執行するよりもこれを猶予した方が遙かに有利であつたものであり、他方本件財団が公売せられることによつて原告が炭鉱を経営し得なくなることは明らかなところであるから福島県知事は本件財団の公売の執行を猶予すべきものであつた。然るに福島県知事は只一回公売公告をなしただけで直ちに本件公売処分を執行したのは違法と言わざるを得ない。

(二) 本件財団は石炭採掘の鉱業権の外主として建物を以て組成されて居るものであり、炭鉱経営に不可欠な坑道、機械等は本件財団に包含せられて居ないから、炭鉱経営に必要な所要物の僅少な部分にすぎないのではあるが、鉱業権そのものは炭鉱経営の中心であつて、これが公売せられることによつて原告は炭鉱を経営することは不可能となり、為に大きな損失を受けるのであるが、本件財団の落札人も本件財団の落札によつて坑道、機械等全所要施設を取得する訳ではないから、原告とは別途に厖大な所要施設を設置する迄相当長期間に亘つて本件財団による炭鉱の経営をすることができないのであつて、かかる事態は国家経済上も頗る不利益なことと言わなくてはならない。前述の滞納金等を徴収するに足る原告所有の財産は本件財団以外にも多々あつたのであつて、これらの適当な財産を公売することによつて原告の受くべき重大な損失も、前述の如き不利益な事態も容易に避け得られたのに拘らず、福島県知事はこれらの措置を採らず敢て本件財団を公売したのは違法であると言わなくてはならない。

(三) 本件財団の公売は入札の方法によつて行われたのであるが、その落札人若山甚八郎はその義兄にあたる訴外守谷勝彌と策応し、一方において勝彌は原告に対し本件公売期日までに前述滞納金額を融資することを約し、原告の事業経営に協力する如く装い、他方において甚八郎は原告の油断に乗じて公売物件を低廉な価格で入手しようと企てて居たものであるが、本件公売処分の執行に当つて居た係員は右の事情を知り乍ら秘密たるべき本件財団の最低公売価格を予め甚八郎に知らしめる等同人に諸種の便宜を与えこれによつて若山甚八郎の入札がなされたものであるから、本件の公売においては公正な競争入札の手続が行われなかつたものであつて違法である。

(四) 又本件財団には訴外日本開発銀行の為に、千二十六万四千百六十円の債権について抵当権が設定されて居たものであるから、福島県知事は同銀行に対し国税徴収法施行規則(以下規則と略称)第十二条第一項所定の通知をなし、同銀行に公売に参加する機会を与えた上で本件財団を公売すべきものであるに拘らず、同銀行に対する右通知をしないままで本件公売を執行してしまつたものであるから本件公売処分は違法である。右の如く日本開発銀行は本件公売に参加する機会を失わしめられたのであるが、前述の通りの債権額について抵当権の設定を受けて居た同銀行が本件公売の入札に参加したならば本件公売における落札金額百四十五万円以上の価額を以て落札せられたであろうことが予想されるので、原告は福島県知事の右違法なる行為によつて権利を侵害されたものである。

(五) 福島県知事が昭和二十七年四月十二日になした本件公売の公告によると、本件公売における入札者は買受見込金額の百分の十以上の保証金を提供しなければならないことになつて居り、規則第二十条によれば右保証金は国債を以てのみ代用し得るものであるが、入札者若山甚八郎は保証金代用として守谷勝彌振出に係る金額十四万五千円、支払場所三和銀行祐天寺支店なる小切手一通を福島県知事に交付しただけであつて、適法な保証金の提供をしなかつたものであるに拘らず、福島県知事は前述の如き公売決定をなしたのであるから、その決定は違法であると言わなくてはならない。然も若山甚八郎に対するが如く、保証金の提供を小切手で代用することが許されたならば若山甚八郎以外にも多数の者が入札に参加したであろうし、従つて又若山甚八郎の入札金額百四十五万円よりも高額の入札もあり得たであろうことが考えられるから、若山のみに対して小切手を以てする保証金代用を許したことは公平の原則を破り、違法に原告の権利を侵害したものと言わなくてはならない。

(六) 本件財団には前述の如く日本開発銀行の為に、千二十六万四千百六十円の債権について抵当権が設定されて居ることから見ても明らかな様に、本件財団の価格は二千万円を下らないものであつたに拘らず、福島県知事は別に専門家の鑑定も求めずにその最低公売価格を九十八万五千円と決定し、前述の如く百四十五万円を以て売却する旨の決定をなしたのであり、その公売価格は時価に比して甚だしく低廉なものであるから、福島県知事のなした本件公売決定は違法と言わなくてはならない。

福島県知事のなした本件公売処分には以上の通り違法の点があるにも拘らずこれらを看過してなされた被告の本件審査決定は違法であつて取消さるべきものである。」と述べ、

被告の答弁に対し「福島県知事が昭和二十七年五月一日日本開発銀行に対して規則第十二条第一項所定の通知をなしたこと、若山甚八郎が同年五月二日現金を以て右保証金十四万五千円を提供し、福島県知事のなした公売決定による代金納付期日たる同年五月十日迄にその公売代金を完納したことは認める。」と述べた(証拠省略)。

被告訴訟代理人は請求棄却の判決を求め、

「原告主張事実中、原告がその主張の通りのものであり、厚生大臣より原告主張の事項の委任を受けて居た福島県知事が原告主張の通りの滞納保険料等を徴収する為、原告所有の本件財団を差押え昭和二十七年四月二十八日、これを入札の方法を以て公売し、入札者若山甚八郎に対し百四十五万円を以て売却する旨の公売決定をしたこと、原告がその主張の通りに被告に対し審査請求を申立て、被告がその申立を立たないものとする決定をなし、原告に通知したこと、原告がその主張の日に本件財団の公売処分の執行の猶予を求めたこと、福島県知事が本件財団を九十八万円と評価し、最低公売価格を九十八万五千円と決定したこと、本件財団には日本開発銀行の為に千二十六万四千百六十円の債権について抵当権が設定されて居たこと福島県知事が同銀行に対し規則第十二条第一項所定の通知をしないで本件財団を公売したこと、本件公売においては入札者はその入札金額の百分の十以上の保証金を提供しなければならないことになつて居たが、若山甚八郎は右保証金代用として原告主張通りの小切手一通を福島県知事に交付したものであること及び福島県知事が本件財団の最低公売価格を決定するに際つて別に専門家の鑑定を求めなかつたことは認めるが、その余の事実は争う。

(一) 昭和二十七年四月二十七日原告から本件財団の公売処分の執行を猶予せられ度い旨申出はあつたが、福島県知事においてその申出を容れ、本件財団の公売の執行を猶予することとした事実はなく、又公売の執行を猶予するや否やは福島県知事において自由に裁量し得る事柄であり、取扱上滞納金等の半分の納付があつた時に始めて猶予するや否やを考慮して来たものであつて、本件の事例は猶予すべき場合に該当するものではないから、この点の原告の主張は理由なきものと言うべきである。

(二) 滞納金等徴収の為に滞納者の如何なる財産を差押へ、これを公売するかは滞納処分執行者において自由に決し得る事柄であり、原告が本件財団以外になお財産を有するとしてもそれによつて本件公売が違法となる訳ではない。然も本件財団が公売された場合、直接本件財団に包含されて居なくとも、これに附属する施設は共に落札人の所有に帰するものである(鉱業抵当法第三条、工場抵当法第二条、第十六条参照)から、本件財団の公売によつて原告主張の如き国家経済上不利益な事態が生ずることはない。

(三) 本件公売処分は公正な入札の方法によつて行われたものであつて原告主張の如き不正の事実はない。

(四) 規則第十二条第一項所定の通知を抵当権者に対してなすのは公売物件について抵当権の設定を受けて居る者に対し公売によつて収納された代金について優先弁済を受くる権利を行使する機会を与えんとするにあるものであつて、当該物件の公売に参加する機会を与えんとするにあるのではない。従つて右通知は公売処分執行以前になされなければならないものではなく、担保権者が優先弁済を受くる権利を行使することができる時期になされれば足るものであり、右通知をなさないで公売を執行したからと言つてその公売処分が違法になる訳のものではない。福島県知事は本件公売による収納代金の配当実施前である昭和二十七年五月一日同銀行に対して右通知をなして居るのである。然も同銀行が本件公売の入札に参加したとして、同銀行が本件公売の最高入札額百四十五万円以上の価額を以て入札するかどうかは単なる事実上の可能性にすぎず、又原告の主張からしても原告の法律上の利益が侵害されるものではないから、原告のこの点の主張は利益のないものである。

(五) 本件公売において、入札者は入札金額の百分の十以上の保証金を提供しなければならないことになつて居たのに若山甚八郎は本件公売の入札に際つては右保証金の代用として原告主張通りの小切手を提供しただけであつたが同人はそのご昭和二十七年五月二日に改めて現金を以て保証金四十五万円を提供し、本件公売決定における代金納付期限たる同年五月十日迄にその代金百四十五万円を完納したのである。ところで右保証金を提供させるのは、保証金沒収の予告によつて公売妨害の為にする入札の濫用を防ぎ、入札者をして完全に義務を履行させ、以て公売の円滑な執行を期するにあるのであるから、前述の如く落札者若山甚八郎が事後においてではあるが適法な保証金の提供をなし、且期日迄に代金の納付を了つた以上、本件公売における保証金提供の点における瑕疵は治癒せられたものであつて取消の理由とはなり得ない。

(六) 最低公売価格なるものは、公売執行者がその裁量において決定するものであり、公売物件の評価について必ず鑑定を求めなければならないわけのものではなく、又抵当権の被担保債権者が必ずしも常に当該物件の価格を下らぬものではなく、日本勧業銀行の評価によるも、本件財団の価格は九十万円にすぎないから、本件公売価格を時価に比して甚だしく低廉なりとする原告の主張は当らない。

以上の通りであるから福島県知事のなした本件公売についての原告の審査請求を棄却した被告の審査決定には違法の点はない。」と述べた(証拠省略)。

三、理  由

原告が福島県白河地方に炭鉱を有し石炭採掘業を営んで居たものであり、訴外厚生大臣より福島県における健康保険料、厚生年金保険料の徴収を委任されて居た訴外福島県知事は、原告が昭和二十四年十一月より昭和二十七年一月迄の間に福島県内の従業員より徴収した健康保険料五十二万千三百八十九円五十銭、厚生年金保険料二十六万八百十八円五十銭を滞納して居るとして、右滞納保険料と、これに対する延滞金十九万八千九百三十円並に督促手数料百五十円合計九十八万一千二百八十八円徴収の為に昭和二十七年四月一日原告所有の別紙目録記載の鉱業財団を差押え、同年四月二十八日これを入札の方法を以て公売に付し、入札者若山甚八郎に対し、百四十五万円で売却する旨決定したこと、原告が福島県知事の右公売処分を不服として同年六月二十三日被告に対して審査請求をなし、被告が同年十月三十日原告の申立は立たないものと決定して原告に通知したことは当事者間に争がない。そこで以下順次に原告の主張する処について検討する。

(一)  昭和二十七年四月二十七日原告が福島県知事に対し本件財団の公売の猶予を求めたことは当事者に争がないが、福島県知事が右申出を容れてその公売を猶予することを決定したとの事実はこれを認むるに足る証拠はなく、又本件財団が公売せられることによつて原告が炭鉱を経営できなくなることは明らかであるが、原告が本件炭鉱の経営を継続することによつて右滞納金等を容易に納付し得る程の利益をあげ得るとの事実を認むるに足る証拠もないので、この点の原告の主張は理由がない。

(二)  前述の如く本件財団が公売されることにより原告が本件炭鉱を経営することが不可能となる結果、原告が大きな損失を受けるに至ることは見易きところであるが、滞納処分の執行に際り如何なる財産を差押え、公売するかは一応執行者の裁量に委ねられて居るものと解するのが相当であるから、本件財団を公売することが、合理的な裁量の範囲を超えた甚だしく不当のものとすべき特段の事情のない限りこの点において本件公売処分を違法と言うことはできないものと言うべきであるところ、本件財団以外に右滞納金等を容易に徴収し得る適当な原告の財産が存するとの事実その他本件財団を公売することが原告にとつて著しく不当なる措置であるとすべき特段の事情の存在を窺わしめるに足りる証拠もなく、更に原告主張の如く本件財団に含まれて居ない炭鉱所要施設が単なる本件財団の附属物ではなく、本件財団の公売により鉱業権とは別個の所有者に帰属することとなる結果、原告の述べる如き国家経済上好ましからざる事態が生ずるものと仮定しても、それは専ら公益上の問題であつて、そのこと自体は原告の個人的法益の侵害とは言えないから、原告のこの部分の主張は利益のないものである。よつてこの点の原告の主張は採ることができない。

(三)  福島県知事が本件財団の最低公売価格を九十八万五千円と決定し、入札の方法によつてこれを公売に付し、入札者若山甚八郎に対し百四十五万円を以て売却する旨の公売決定をなしたことは当事者間に争がなく、その事実よりすれば本件公売処分の入札は一応公正に行われたものと推定され、原告主張の如き不正事実の存在を窺わしむるに足る証拠は一つもないので、この点の原告の主張も採ることはできない。

(四)  本件財団には日本開発銀行の為に抵当権が設定されて居たが、福島県知事は同銀行に対し規則第十二条第一項所定の通知をなさずに本件財団を公売し、その終了後である昭和二十七年五月一日に至つて右通知をなしたことは当事者間に争がない。ところで規則第十二条第一項所定の通知の趣旨とする処は、同条第三項の規定に徴し所定の担保権者に担保物件の公売に参加する機会を与えむとするにあるものと解することはできず(単に公売に参加する機会を与えるには、規則第十九条所定の公告によつて足る筈である)、担保権者に対し担保権者としての利益を守る為にその権利を行使する機会を与えんとするにあるものと言うべきである。して見れば右通知は必ずしも担保物件の公売執行がなされる以前になされる必要はなく、担保権者がその優先弁済を受ける権利を行使し得る時期においてなされれば足りるものと言わなくてはならず、更に昭和二十七年五月一日になされた右通知が時期を失したものであるとしても、右通知は担保権者に対しその権利行使を確保せしむるものなのであるから、担保権者たる日本開発銀行にとつて法益の侵害ではあり得ても原告に対する法律上の利益の侵害とはならないのであつて、原告のこの点の主張は採ることができない。

(五)  本件公売において入札者は入札金額の百分の十以上の保証金を提供しなければならないことになつて居たが、落札者若山甚八郎は本件公売における入札において、右保証金の代用として守谷勝彌振出に係る金額十四万五千円、支払場所三和銀行祐天寺支店なる小切手一通を提供したにすぎなかつたが、公売終了後たる昭和二十七年五月二日改めて現金を以て十四万五千円の保証金を提供し、公売決定において定められた代金納付期限たる同年五月十日に代金百四十五万円を納付したことは当事者間に争がない。ところで規則第二十条第二項によれば右保証金は国債を以て代用し得るものと定められて居るだけであるから、若山甚八郎が右小切手を以て右保証金に代用したことは適法な保証金の提供とは言い得ない。然し乍ら公売において保証金を提供させる趣旨は規則第二十条第三項の沒収により、落札人にその義務を完全に履行させ、以て公売処分執行の円滑を図るにあるものと解すべく、その限りにおいて執行を受くる者が利害関係を有し得るものであるところ前述の如く事後にではあるが若山甚八郎は適法な保証金の提供をして居り、又落札人としての義務を履行して居るのであるから本件公売は円滑にその執行を了つたものと言うべく、若山甚八郎の右保証金提供についての違法によつて原告はその法律上の利益を侵害されて居る点はあり得ないものと言わなくてはならない。

(六)  本件財団に被担保債権額千二十六万四千百六十円について抵当権が設定されて居たことは当事者間に争がないが、担保物件が必ずしも常にその被担保債権額を超え若くはこれと同等の価額を有するものとは限らないことは言うまでもなく、原本の存在並に成立に争のない乙第四号証によれば、昭和二十七年十月十六日当時における本件財団の相当価格は九十万円程度のものである事実が認められ、他に特段の事情の存在を認むるに足りる証拠のない本件においては本件の公売期日である同年四月二十八日における時価も右と略々同じ程度のものと推測できるのであつて右認定を覆えすに足る証拠はないから、百四十五万円の公売価格は時価に比し著しく低廉なものとは言い得ない。

然して公売価格にして一般取引の通念に照らし時価に比し著しく不当に低廉と認められない以上、その最低公売価格が如何にして決定せられ、又幾何であつたかは公売決定を違法とする理由とはなり得ないから、この点の原告の主張は理由がない。

以上判示の通りであつて、原告の主張はいずれも採用できないから、原告の審査申立を立たずとしてこれを棄却した被告の審査決定は相当であるから、原告の本訴請求は失当としてこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条を適用し、主文の通り判決する。

(裁判官 毛利野富治郎 桑原正憲 山田尚)

(別紙目録省略)

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