東京地方裁判所 昭和28年(ワ)1412号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔事実〕本件建物の賃借人たる被告は、昭和二十五年七月十六日から昭和二十七年十二月三十一日までの一カ月金三千五百円の賃料合計十万三千三百五十六円を延滞したので、賃貸人たる原告は、昭和二十八年一月十五日着の書面で、その到達後三日内に右延滞賃料を支払われたく、期間内に支払わないときは賃貸借契約を解除する旨の、条件付解除の意思表示をした。被告は右催告期間内にその支払をしなかつた。被告は右催告期間の相当性を争う。すなわち、原告が指定した三日の催告期間は、十六日が藪入り、十七日が土曜日、十八日が日曜日であり、一般事業界経済界はほとんど休業状態にあり、かつ余りにも短期間で、解除の前提たる催告期間としては不適法であるから、右催告を前提とする解除の意思表示によつては本件賃貸借解除の効果は生じない、という。(なお被告は催告期間をわづかに経過した一月二十二日に延滞額全部を原告に支払つている)
〔判断〕判決は証拠によつて次のような事情を認めて、被告の主張を排斥し、本件賃貸借契約は、原告主張のとおり、昭和二十八年一月十八日限り解除によつて終了した、と判断した。曰く、「……を綜合すれば、原告は本件に先立ち本件被告等を相手取り所有権に基く本件建物明渡請求訴訟を起したが、被告等は原告との間に本件の賃貸借関係の存することを主張して勝訴し、その控訴審においても、その賃貸借関係存するの故を以て昭和二十七年六月二十五日勝訴の言渡を受けたことが認められるので、すでに賃貸借関係の存在を主張する被告としては、未払賃料の支払を準備しおくべきは勿論、本件原告からの催告をまつまでもなく、進んでその賃料を原告に提供すべきは信義則上当然であるから、本件催告指定三日の期間中に土曜日等がたまたま包含されていても、催告の期間としては相当なものと言うべきのみならず云々。」