大判例

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東京地方裁判所 昭和28年(ワ)2550号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔事実〕原告は倉庫業者である被告との間に石けんの寄託契約が成立したとして寄託物たる石けんの返還を求めた。被告は原告との間に寄託契約の成立を否認し、石けんは寄託申込をした第三者の請求によつて返還ずみであると主張した。被告発行原告宛の貨物預書で甲第一号証として提出せられたのに対し、被告は寄託申込書と返還請求に際し作成せられた貨物受取書の各印章が同一であることを確認して寄託物の返還としたもので、この返還に際しては必ずしも貨物預書Xと引換にすることを要しない商慣習があると抗争した。

〔判断〕原告敗訴、判決は本件寄託契約成立の経過、原告宛の貨物預書の発行せられた経緯についてつぎのとおりに判断し、原告の請求を棄却したが、傍論として、貨物預書発行の場合の商慣習についてつぎのように判示している。曰く、

「……の証拠を綜合すれば…中略……訴外佐々木は昭和二十七年八月十二日被告渋谷支店に対し、日産マルセル石けん二百箱の寄託申込を訴外組合名義でなし、寄託申込書には訴外組合の記名印、同理事長印を押捺したが、被告支店の係員が所定の手続どおり貨物預書を発行しようとすると、佐々木は預書の名宛人を町田正信(原告)宛にしてもらい度い旨申入れたので、係員は「町田は組合の人ですね」と念を押した上、町田宛の貨物預書を発行した。……中略……その後佐々木は八月十四日被告渋谷支店に右石けん二百箱の返還を求めたので、同支店では寄託物返還の手続に従い、寄託申込書に押捺された訴外組合理事長印と返還請求の際記入せられた貨物受取書の印影が同一であることを確認した上、同日百箱、十五日四十箱、十七日六十箱の返還を了した。……中略……事実を認めることができる。……中略……

なお、原告が本件寄託契約に当つて発行された貨物預書を所持していること、右預書の名宛人が原告名義に表示されていることは前段認定の如くであるが、(原告は右貨物預書を貨物保管書と主張するが、原告所持の貨物保管書は甲第一号証により明かな如く「前記の貨物本書と引換に御渡可申候也」との記載部分が抹消されてをり、……の証言によれば被告渋谷支店においては貨物保管書用紙中の前記引換文言の部分を抹消してこれを貨物預X書と名付けて使用し、発券倉庫以外の倉庫に入庫する場合は寄託者が特に貨物保管書の発行を要求した場合を除いては常に貨物預書を発行しており、貨物保管書が発行せられた場合には寄託主は同書面と引換でなければ寄託物の返還を請求しえないのに反し、貨物預書発行の場合にはこれと引換えでなくとも寄託物の返還を請求しうる事実が認められ、貨物預書発行の場合の右の返還方法は商慣習として認められていることは鑑定人××××の鑑定の結果により明であるが、原告所持に係る貨物保管書と題する証書も右貨物預書と認めるのが相当である)右貨物預書は一の証拠証券にすぎないのであつて、原告が自己宛の貨物預書を所持することは原告が一応寄託主であることの推測を受けうるに止り、このことから直に原告が寄託主であるということにはならないのみならず、前記認定の事実に徴すれば却つてその然らざること明白である。以下略」

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