東京地方裁判所 昭和28年(ワ)748号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
(事実と判斷)原告は被告に対し振出人被告なる約束手形五通の所持人として各手形金の支払を求める。被告は原告主張の事実はすべて認め、抗弁として次のとおり述べる。
「被告は昭和二十八年一月二十五日負債整理の為、私的に債権者集会の開催を求めその結果被告の財産を整理処分しその代金を各債権者に按分支払う趣旨の整理案が調い、整理委員等が選任された。その際原告も右債権者集会に出席しこれを承諾したものであるにも拘らず被告に対し仮差押をなし本訴に及ぶことは右合意に反し又信義則に反するものである。(爾余の争点は省略)
判決は、被告主張の抗弁を排斥し原告勝訴。
被告の右抗弁を排斥して曰く、
「次に被告は……と主張し、右主張のような債権者の集会があり整理案が提示せられたことは原告の認めるところである。然しながら……によれば、被告主張のような整理案は出席債権者の多数の賛成を得てその後実行に移されたが、原告は当日の取極めに終始反対し、最後までこれに同意承諾を考えなかつたことが認められるのであつて、かくの如く債権者が私的に集会し何等かの整理案が決定されたとしても、これが決定に承服しなかつた者に対して拘束力を有するものではなく、又たとえこの決定に従わなくとも信義則違反となるものでもない。従つて原告が前記取極めに反し仮差押又は訴訟を提起したとしても何等信義則に反するものではない。」