大判例

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東京地方裁判所 昭和29年(ワ)3695号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔事実と判断〕原告は訴外永久保から本件係争地上の賃借権並びにその地上に残存する物置・煙突等を係争地の所有者であり賃貸人である訴外清水の承諾をえて譲受け、物置については所有権取得の登記を経由したから本件係争地の賃借権は何人にも対抗できる旨主張し、被告は右物置は戦災のため社会通念上建物と称しえない程度に焼毀したから建物保護法の適用がないと抗争した。

判決は証拠によつて、原告が本件物置の所有権を取得したと主張する昭和二十八年四月五日当時右物置は桝型のコンクリート型が残存するのみで雨露を遮る屋根その他の設備もなく、物品を格納する用途とする物置としてはその用に堪えない状況であつたことを認定した上、つぎのとおり説明して原告の主張を排斥した。曰く。

「右の認定事実によれば、原告訴外永久保間に譲渡契約が成立した昭和二十八年四月五日当時、本件物件は一個の独立した不動産たる「建物」として物権の客体たりうるものでなく、訴外清水所有の本件係争地の定着物にすぎなかつたものと認めるべく、したがつて原告は前示契約により訴外永久保に対しその所有にかかる本件物置をその存する本件係争地から分離した上その所有権を移転し、かつ引渡をなさしむべき債権を取得したに止り、右物置の所有権を取得したものとすることができない。即ち原告の本件係争地に対する賃借権は建物保護法第一条による対抗要件を具備せず、原告の前示主張は採用できない。」

ついで原告は物置と同時にセメント煙突と焚口を売買により所有権を取得したと主張し本件土地のその後の賃借人で占有者である被告にこれ等物件の引渡を求めたが、判決はこれ等物件は戦災のため土地の定着物となつたから原告は売買にかかわらず直ちに所有権を取得できない旨判示して原告の請求を棄却した。曰く。

「前記認定の事実によれば、本件煙突及び火焚場は前記平家一棟の(焼失前には浴場営業用の主要建物)の構成部分をなし独立して物権の対象となりえない性質のものであつた(即ち、建物ではなかつた)ものというべく、しかして右平家一棟が焼失した後には依然として訴外永久保の所有には属するものの、その所在する本件係争土地(訴外清水の所有する)の定着物たる性質を有するにいたつたもの、即ち各土地に定着したままでは独立の物権の客体たりえないものと認めるべきである。(以下説示の法律関係は前示平家一棟の土台石が焼残つていたとすればそれについても同様にいいうるところである。)したがつて原告は訴外永久保との間に成立した本件煙突及び火焚場の所有権譲渡契約により、単に右訴外人に対しその所有する本件煙突及び火焚場を本件係争地から分離した上その所有権を移転し、かつ引渡しをなすことを請求する権利を取得したにすぎず、その所有権を取得したものとはなしえないのである。」

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