大判例

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東京地方裁判所 昭和29年(ワ)601号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔事実〕判決が証拠によつて認定した事実は次のとおり。

本件建物はもと原告の夫林喜三郎の所有であつたが、同人が昭和二十五年十一月五日死亡し、原告始めその子等がいつたん共同遺産相続をしたが、昭和二十七年三月十日これが分割協議ととのい、右建物の所有権は原告の承継するところとなつた。ところで本件建物は未登記であつたので、亡喜三郎の死後右分割前に、原告がその長男たる訴外林喜三郎に相続登記の手続を委嘱したところ、同人は被相続人亡喜三郎の名において登記手続をするつもりで申請したのに、たまたま被相続人と右訴外人の氏名が同一であつたため、誤つて、訴外喜三郎の所有物件として保存登記がされてしまつた。

被告は、右の事実ありとしても、登記簿の記載を信頼して本件建物は訴外喜三郎の所有家屋なりとして、昭和二十八年二月二十五日強制競売の申立をしたのであるから、原告は本件家屋の所有権を以て被告に対抗できない、と主張する。

〔判断〕「被告は……原告名義の登記の欠缺を以てその所有権を被告に対抗し得ぬ旨抗争するが、前記の如く、原告は本件建物所有権を相続により取得したもので、訴外林喜三郎から所有権の譲渡を受けたものでないことは前説示で明瞭であるから、同人名義の登記があるからといつて、これをいわゆる二重譲渡の如きと同視することはできない。」かように説明して、訴外喜三郎の債務について本件家屋に対してされた本件強制執行を許さずとした。

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