大判例

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東京地方裁判所 昭和30年(ワ)7191号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔事実と判断〕原告は本件土地の所有者であるが、被告等はいずれも本件土地上に権原なくして家屋を所有してその敷地を不法に占有しているか、または右家屋を占有して敷地を不法に占拠しているものとして、それぞれの家屋収去土地明渡または家屋退去土地明渡を求めた。同時に原告は、各家屋所有者たる被告に対し相当賃料額による損害金の支払を求めたが、その算定基準を本件土地の時価相当額に対する年五分に当る金額に求め、これを一二等分した額が一カ月の適正賃料であると主張した。

被告等は、本件土地について賃借権もしくは法定地上権をもつていること、また原告の請求は権利の濫用であることを抗弁したほか、原告主張の金額が本件土地の相当賃料額であることを争い、本件家屋がいずれも店舗併用住宅であることから、その損害額は地代家賃統制令による統制賃料の範囲内に限らるべきものであると主張した。

判決は、被告等の抗弁をすべて排斥したうえで、原告の損害金請求の点について次のように判断して、原告主張の金額をそのまま認容した。

「又右土地の占有により原告をしてその利用収益を妨げ尠くとも賃料相当の損害を蒙らしめつつあるものと認めるのが相当であるところ、鑑定人渡部武文の鑑定の結果によれば、昭和二十八年十二月一日以降の本件土地の時価が原告主張のとおりであることが認められ而も建物所有の目的で土地所有者が新たに更地を賃貸する場合賃料の統制がないとすれば一カ年につき尠くとも当時の相当売買価格に民事法定利率の年五分を乗じて得た金額の収益が得られるものと認めるのが相当である、即ち、現在東京都内およびその周辺の商業地帯においては建物所有の目的をもつて土地に賃借権を設定する場合、通常賃借権設定の対価の趣旨の権利金として地価の約八割以下を地主に支払うほか地価と右権利金との差額を地主の投下資本とみなしこれに対する年五分ないし七分の金額を適正利潤としこれに一年間の公租公課その他の管理費用を加えた金額を一年間の地代として地主に支払うことが公知の事実であり、本件土地が旧東京都内に隣接する中野区内本町通りの商業地帯に属し而も原告は本訴において右趣旨の権利金を授受しない場合の地代相当の損害金の支払を求めている趣旨であることは口頭弁論の全趣旨に徴し疑いを容れないところであるから、以上の各事実よりすれば本件の場合においては地価に対し民事法定利率の年五分を乗じて得た金額が相当賃料であると認められる(被告らは、本件土地の相当賃料はその地上の家屋が店舗併用住宅であるから統制賃料によるべきものであると主張するが、被告らの本件土地の占有が不法占有であることは前記判断に示したとおりであるから、かかる場合の賃料相当の損害額は統制賃料額によるべきものではなく賃料の統制を受けない更地の賃貸料によりその損害額を算定すべきものと考える)」

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