東京地方裁判所 昭和30年(ワ)8639号 判決
証拠を綜合すれば本件手形は、被告の東京営業所はおける原被告間の商品取引に関連して、訴外広野が被告の名義で振り出したことを認めることができる。被告は本件手形の振出当時、訴外広野に対して約束手形の振出を禁じていたと主張するけれども、これを認めるべき何らの証拠もなく、却つて右証人広野栄作の証言によれば本件手形が振り出された当時においてもなお訴外広野は被告名義の約束手形を振り出す権限を有していたことを推認することができる。
してみれば、本人に代つて手形振出の権限を有する者が手形を振り出すに当つて、本人のためにすることを記載して自己の名を署名する(又は記名捺印する)ことの適法なることは勿論であるが、直接に本人の記名捺印をしても有効であることを妨げないから、本件手形上の責任は被告自身において負うべきものといわねばならない。