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東京地方裁判所 昭和30年(行モ)1号 決定 1955年12月26日

申立人 日本商工振興株式会社破産管財人 後藤助蔵 外一名

被申立人 東京国税局長

右申立人等は破産者日本商工振興株式会社(以下単に破産会社という)に対して、(一)申立外日本橋税務署長が別表一記載の昭和二十八年十月二十二日から昭和二十九年八月二十三日までの間破産会社に対して為した同会社の昭和二十七年一月から昭和二十九年四月まで毎月支払の株主優待金に対する所得税の源泉徴収決定及び右源泉徴収決定に対する加算税、利子税の課税決定が違法であり、(二)相手方が右違法な徴収決定及び課税決定による税金の滞納処分として昭和二十八年十一月二十四日から昭和二十九年三月四日までの間為した別表二記載の物件に対する差押処分及び近く為さんとする右物件の公売処分も違法であるとして、当裁判所に、右(一)所得税の源泉徴収決定、及び加算税、利子税の課税決定及び(二)別表二記載の物件に対する滞納処分の無効確認の訴(昭和三十年(行)第七号事件)を提起し、且つ前記物件に対する公売処分の執行の停止を申立てた。

当裁判所は当事者の意見をきいたうえ考えると、行政処分の無効を前提として(無効確認を本訴として)その処分の執行の停止を求める場合にも行政事件訴訟特例法第十条第二項の適用があり、従つて該処分の執行に因り生ずべき損害が償うことのできないものであると認められる場合に限つて許されるものと解すべきところ、破産会社は昭和二十九年七月八日午前十時東京地方裁判所より破産宣告を受け、申立人等が破産管財人に選任され、現在破産手続中で、被差押物件である別表二記載の物件はいずれも破産会社の破産財団に属する財産であることは申立人等の自陳するところである。そうすると右物件は右破産手続上いずれは換価せらるべきものであることは明らかであるところ、右破産手続において為される換価による右物件の代価が本件滞納処分として相手方の為す公売によるそれよりも高価であるとはその性質上にわかに断定することができないし、本件公売処分の執行により蒙ることのあるその余の損害は金銭をもつて容易に償い得るものであると認められるから、右公売処分の執行により償うことのできない損害を蒙る場合には該らないといわねばならない。よつて申立人等の申立は理由がないと認め次のように決定する。

主文

本件申立を却下する。

(裁判官 飯山悦治 岩野徹 井関浩)

(別表省略)

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