東京地方裁判所 昭和31年(ワ)2657号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔事実と判断〕原告は被告から、原被告間に成立した大森簡易裁判所昭和三〇年(イ)第七二号家屋明渡和解事件の執行力ある和解調書正本に基き、原告が訴外学習研究社にたいし有する債権について差押および転付命令の申請をし、その決定を得たが、本件和解当時には原被告間にはなんらの紛争もなかつたから、本件和解は無効であり、被告の本件債権の取得は法律上の原因を欠くものであると主張した。判決は原告の請求を棄却し、裁判上の和解の前提となる紛争の意義についてつぎのとおり説明している。曰く。
「即決和解は訴訟行為であると同時に私法上の和解の性質を有し、私法上の和解は当事者の互譲により紛争を解決するものであるが、この紛争は必ずしも権利関係の存否又は範囲につき存することを要せず、権利者において履行の確実にされるかどうかにつき不安を懐き、権利実行の確実性につき当事者間に見解の対立ある場合をも含むものと解すべきところ、本件において、被告主張の経緯から右の意味における紛争があり、被告の有する不安感を除却するため即決和解がなされたことが綜合して認められる。従つて原告の前記主張は採用しない。」