大判例

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東京地方裁判所 昭和32年(レ)164号 判決

控訴人は、本件手形はその受取人の訴外平和塗工株式会社に金融を得させるために振り出された融通手形であり、被控訴人はそのことを知つて裏書譲渡を受けたのであるから、控訴人は被控訴人に対しては本件手形金の支払義務はないと主張するけれども、融通手形は被融通者にその手形を利用させて金銭を得、若しくは得たと同一の効果を受けさせる目的で振り出されるものであり、従つてその手形が利用されて被融通者以外の第三者がこれを取得した場合においては、振出人はその所期の目的を達したわけであるから、融通手形に振出人は被融通者以外の第三者に対しては、その者が融通手形であることを知つて手形を取得したかどうかにかかわりなくその手形金の支払を拒絶できないものというべきである。従つてこれと異なる見解に基く控訴人の主張は採用できない。

次に、控訴人は、本件手形についてはその振出の際に前記訴外会社との間に手形金の支払は満期後もある程度猶予する旨の特約ができていたから、控訴人には今直ちに本件手形金を支払う義務はないと主張するけれども、かような特約のできたことを認めるに足る証拠はなく、のみならずかような特約は手形の善意の取得者には対抗できないものであるから、仮りにそのような特約ができていたとしても、被控訴人が本件手形を取得するにあたり右特約成立の事実を知つていたことの主張も立証もない本件では控訴人の右主張は採用することができない。

してみると、控訴人は被控訴人に対し本件手形金の支払義務のあることが明らかであるから、控訴人に対し右手形金とこれに対する遅延損害金の支払を求める被控訴人の本訴請求は正当であり、右と同趣旨の原判決は相当であるとして本件控訴を棄却した。

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