東京地方裁判所 昭和32年(レ)168号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔事実と判断〕訴外浅野は店舗敷地として本件土地を被控訴人から賃借りしていたが昭和二十九年十月分以降の賃料支払を怠りその間屡々催告されたがこれに応ぜず、昭和三十年六月頃からは店を閉じてながらく所在不明をつづけていたので被控訴人は同訴外人のこれまでの住所に宛てて賃料不払を理由とする契約解除の書面を差し出したところ同居の家人がこれを受領した。判決は右契約解除の意思表示が有効に到達したと判断してつぎのとおり説明した。曰く。
「訴外浅野は昭和二十九年十月分以降賃料の支払を怠り、その間口頭による催告にかかわらずこれに応ぜず、昭和三十年六月頃からは店を閉じたきりながらく所在不明を続け、沓として行方が知られなかつたので、ついに同年九月十五日内容証明郵便による書面で、賃料債務の履行遅滞書の事由をもつて本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示を浅野にあてて発信し、右書面が同月十七日浅野の住居先に配達され、その同居の家人即ち受領機関に受納されるにいたつた、という事実が認められる。そうすると、浅野において右書面の内容たる意思表示を了知しうべき状態におかれたわけであるから、たまたまその頃浅野がその住居先をはなれて行方不明になつていたとしても、右意思表示は浅野に到達したものとみなければならない。」