東京地方裁判所 昭和33年(ヨ)5308号 決定 1958年10月20日
申請人 共同製本労働組合
被申請人 共同製本株式会社
主文
申請人が金三万円の保証を立てることを条件として次の仮処分をすることができる。
一、東京都文京区久堅町一〇八番地所在鉄筋コンクリート造三階建建坪一階乃至三階各四七九坪三合五勺屋上二四坪七合六勺の建物の内二階組合事務所及び三階会議室(別紙図面朱斜線の部分)に対する被申請人の占有を解き申請人の委任する東京地方裁判所々属執行吏にこれが保管を命ずる。
二、右執行吏はその保管にかかることを公示するため適当な方法をとらなければならない。
三、右執行吏は現状を変更しないことを条件として申請人にこれが使用を許さなければならない。
四、被申請人は申請人が別紙図面中朱線で囲む部分(第一項の部分を除く)を通行するのを妨害してはならない。
(裁判官 桑原正憲 大塚正夫 伊藤和男)
(別紙省略)
【参考資料】
仮処分命令申請
申請の趣旨
一、被申請人の別紙目録記載の建物の部分に対する占有を解き、申請人の委任した東京地方裁判所執行吏にこれが保管を命ずる。
二、執行吏は現状を変更しない事を条件として、申請人に使用を許さねばならない。
三、執行吏はその保管にかかることを公示するため適当の方法をとらなければならない。
四、申請費用は被申請人の負担とする。
との裁判を求める。
申請の理由
一、被申請人会社(以下会社という)は製本を業とする会社であり、申請人組合(以下組合という)は同会社に雇用される従業員をもつて組織する労働組合であるが、組合は、その組合幹部の解雇撤回を要求して会社と目下争議中である。組合は、別紙図面記載の二階組合事務所及び三階会議室を従来から組合業務に供するため占有使用していたが、闘争に突入するとともに闘争本部等として闘争業務のため使用して来た(参照御庁昭和三三年(ヨ)第四〇八八号立入禁止仮処分申請事件)
二、ところが会社は、昭和三十三年十月十二日午後十時過頃、同会社刷本課副課長新井正義等をして人夫二百名を指揮して前記組合事務所、三階会議室等に乱入せしめ、居合せた組合員約二十名の制止も聞かず同人等に対していきなり暴力をもつて同人等を会社構内から退去せしめた上現在も人夫等をして前記組合事務所等を不法に占拠している。
三、組合は目下占有回収の訴を提起すべく準備中であるが、本件判決確定までの長い間組合事務所、会議室(及びこれの使用に必要な通路階段)が使用出来ないことは、争議中の組合として争議の結果重大な影響をうけ、著るしい損害を蒙るので本申請に及んだ。(別紙省略)