大判例

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東京地方裁判所 昭和33年(ワ)5556号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔事実と判断〕訴外吉田信用金庫は被告外二名を相手どり手形金一〇〇万円の支払請求の訴訟を提起し、原告は第三回口頭弁論期日後被告から右事件の訴訟代理人たることの委任をうけ、第四回口頭弁論期日後引続き出頭した。弁論期日は調停期日を加えると十数回に及んだが、原告の人的抗弁が認められて被告は勝訴し、判決は確定した。ところで原被告間には右事件に関し被告から相当の手数料及び報酬を支払う特約があつた、かりに特約がなかつたとしても訴訟事件の難易、経過その他一切の事情を考慮して相当の手数料及び報酬を支払う慣習がある。原告はこの慣習に基き弁護士会規則による手数料、報酬の中間額を請求する、とかように主張した。

判決は原被告間に原告主張の事件につき、訴訟委任の関係はあつたがその額についてはなんらの取定めがなかつたと判断し、つぎのように説明して、被告に対し原告の所属する東京弁護士会における弁護士報酬規定の定める最低金額の支払を命じた。曰く。

「そこで右事件に関して原被告間には手数料及び報酬額について何んらの取定めもなかつたことに帰するわけであるが、本件訴訟における全資料によるも原告が無償で事件処理を引受ける趣旨であつたものとは解されないし、被告も手数料及び報酬を全然支払わないつもりであつたとは解されないのであるから、被告は原告に対して右事件の処理について客観的に相当と認められる手数料及び報酬を支払う義務を有するものといわねばならない。そうしてその相当額を定めるには訴訟事件の難易、経過、手数料及び報酬に関する弁護士会の規則、その他一切の事情を考慮しなければならない。まず第三者の作成に係り当裁判所が真正に成立したものと認める甲第二号証及び東京弁護士会に対する調査嘱託の結果によれば、右事件当時原告は東京弁護士会に所属し、当時の東京弁護士会における弁護士報酬規定によれば訴訟事件の弁護と手数料及び報酬はそれぞれ訴額金十万円までにつき最低一割最高三割(合せて五割を超えてはならない)訴額金十万円を超え金百万円に達する部分につき最低七分、最高二割と定められていることを認めることができる。したがつて右報酬規定によれば、右事件の手数料は金七万三千円乃至金二十一万円、同報酬も同じく金七万三千円乃至金二十一万円となり、右事件における手数料及び報酬の相当額も右の範囲において定められるべきものと解する。そうして……によれば原告が右事件の経過として請求原因二から四までに述べる事実を認めることができるが、右事実その他本件訴訟における一切の資料を考慮しても、右事件の手数料及び報酬の相当額の最低を超えて幾らに定めるべきか明らかでない。原告は、手数料及び報酬として右規定の最低と最高の中間をとる慣習がある旨主張するが、これを認めるにたる証拠はない。したがつて、原告は被告に対して右規定による最低の手数料及び報酬即ち計金十四万六千円を請求することができるに過ぎないものといわなければならない。」

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