大判例

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東京地方裁判所 昭和35年(ワ)10621号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔事実と判断〕本件土地(東京都港区麻布田島町二一番地の一部および二二番地合計一四一坪一合)は原告から被告佐竹に賃貸されていて、その賃貸借契約には、賃料が賃借地に対する公租公課その他の負担の増減もしくは賃借地の価格の昂低または比隣の比較により不相当となつたときは、当事者は将来に向つてその一方的意思表示によりこれを増減することができる旨の特約があつた。そして昭和二五年八月当時の賃料は一カ月一、五三一円二〇銭であつたが、原告は、右賃料額は本件土地の価格の高騰、比隣の土地の賃料との比較その他の理由よりして不当に低くなり、しかもこの傾向は累年激化するとして、前記特約に則り、昭和二七年八月一日から一坪当り二五円、昭和三四年五月一日から一坪当り五〇円、昭和三五年五月一日から一坪当り七五円、昭和三七年一月一日から一坪当り一〇〇円に増額すべき旨順次被告佐竹に対して意思表示をし、本件土地賃料が昭和三七年一月一日以降一カ月一四、一一〇円であることの確定と右順次の増額による差額の支払等を求めた。

判決の認定した事実によると、本件土地は都内港区麻布、都電四の橋停留所より南方約一〇〇米の地点にあり、巾員約六米の公道に面する凹形の宅地であるが、交通の便は良く、附近は中小企業の小売店舗が並立する商況必ずしも活発ではない三流の商業地である。そして被告佐竹は本件土地において、原告の前主時代から居室および浴場店舗を所有し、被告会社に浴場営業させて来た。また本件土地の時価は、一坪当り昭和二七年七月約一五、〇〇〇円、昭和三四年四月約六五、〇〇〇円、昭和三五年四月約八〇、〇〇〇円、昭和三六年一二月約一三〇、〇〇〇円であり、本件土地の比隣の賃料(坪当り)は昭和三二年頃から昭和三六年頃までの間二五円ないし四〇円であつた。

判決は、以上の事実のほか、本件土地の固定資産税評価額および公租公課の上昇状況を認定したうえで、本件土地の適正賃料額を算定するについて次のように判示した。曰く、

「そして右事実に、本件土地賃貸借契約の沿革、前記増額請求の意思表示のなされた各時期における一般物価の状況および通常地代は、土地の価額から借地権の価額を差引いたいわゆる底地価額の六%(土地資本に対する利廻り)に公租公課を加算した額とするのが適正とされるが、近時のような土地価額の急上昇の場合には、地代は必ずしもこれに順応せず、殊に永年賃貸借が継続された土地については、特段の事情なき限り、地代は適正ないし期待される利潤率よりかなり下廻るのが実状であることを併せ考えると、原告の前記増額請求の各時期における本件土地の賃料は、左記数額を以て相当であると認定する。昭和二七年八月一日以降一坪当り一五円、昭和三四年五月一日以降同三五円、昭和三五年五月一日以降同四〇円、昭和三七年一月一日以降同六〇円。」

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