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東京地方裁判所 昭和35年(ワ)1088号 判決 1960年12月19日

原告 渡辺庸治

被告 渡部豊 外一一名

主文

第一、原告に対し、

一、被告渡部豊は別紙第三物件目録のうち「イ建物」から退去してその敷地を明け渡し、別に同目録のうち「(イ)、(ロ)、(ハ)の1、(ハ)の2、(ニ)、の各建物」を収去してその収去すべき建物の各敷地部分合計八坪五合を明渡し、かつ、その土地明渡済に至るまで昭和三二年一〇月八日以降一ケ月金一二円五〇銭の割合の、昭和三三年一月一日以降一ケ月金一五〇円の割合の、同年九月一日以降一ケ月金四〇〇円の割合の金員を支払わねばならない。

二、被告土屋テルヲは同目録のうち「ロ建物」を収去してその敷地七坪を明渡し、かつ、昭和三二年一〇月八日以降明渡済みに至るまで一ケ月金三五〇円の割合の金員を支払わねばならない。

三、被告長林義三は同目録のうち「ハ建物」から退去せねばならない。被告本間敏夫は右建物を収去してその敷地七坪を明渡し、かつ、昭和三二年一〇月八日以降明渡済みに至るまで一カ月金三五〇円の割合による金員を支払わねばならない。

四、被告本橋喜八郎は同目録のうち「イ建物」を収去してその敷地九坪六合八勺を明渡し、かつ、昭和三四年四月二一日以降明渡済みに至るまで一ケ月金四八四円の割合による金員を支払わねばならない。

五、被告大橋基良は同目録のうち「ハ建物」から、同広田永次郎、同広田永治、同館林マスは同目録のうち「(ロ)、(ニ)、(ホ)、の各建物」から、同吉田ヨシ子は同目録のうち「(ハ)1、(ニ)の各建物」から、同中田正一は同目録のうち「(ハ)2、(ニ)の各建物」からそれぞれ退去して右各建物敷地を明渡さねばならない。

六、被告船津平吉は同目録のうち「(ホ)建物」を収去してその敷地四坪五合を明渡し、かつ昭和三三年六月二七日以降明渡済に至るまで一ケ月金二二五円の割合による金員を支払わねばならない。

第二、原告のその余の請求を棄却する。

第三、訴訟費用は被告らの負担とする。

第四、この判決は金銭支払の部分についてのみ仮りに執行することができる。

事実

第一、双方の申立

一、原告の申立

1、被告渡部豊は原告に対し、別紙第三物件目録のうち「イ建物」から退去し、同目録のうち「(イ)(ロ)(ハ)(ニ)の各建物」を収去してその敷地合計八坪五合を明渡し、かつ、昭和三二年一〇月八日以降明渡済みに至るまで一ケ月金四〇〇円の割合による金員を支払え。

2、その他は主文第一の第二ないし第六項のとおりである。

以上のとおりの判決と仮執行の宣言を求めた。

二、被告らの申立

1、被告本橋喜八郎、同土屋テルヲ、同長林義三、同本間敏夫、同船津平吉、同館林マス、同吉田ヨシ子はいづれも原告の請求を棄却する旨の判決を求めた。

2、その余の被告らは何らの申立もなさない。

第二、原告の主張

一、訴外岡田憲二は別紙第二物件目録の宅地合計二三〇坪一合六勺五才九五(以下本件宅地という)とその宅地上にある別紙第一物件目録の六棟の建物の所有者であつた。(ただし右六棟の建物は抵当権設定後競落までに次の事実上の変化があつた。すなわち後出本件根抵当権を設定した当時はもちろんのこと、その実行として競売開始の効力発生(その申立登記)の時も、右六棟の建物は第一図面に示すような位置にそれぞれ配置され、かつ、同目録の「一の建物」は同図面に示すように各部屋がつながつており、旧仲仙道に面した実測三八坪もあつた。ところが、被告渡部豊により右競売申立登記後右建物は別紙第二図面に示すとおり一部移転されたり、一部取り毀されたり等の事実上の変更が加えられ、その変更されたまゝの状態で競落となつた。そこでこの事実上の変更が加えられる以前の建物を「変更前の建物」といい、変更が加えられた後の建物を「変更後の建物」ということにする。)

同訴外人は本件宅地と「変更前の建物」につき昭和二三年一二月一七日訴外日本無尽株式会社(後に商号の変更があり現在は株式会社日本相互銀行となつている)(以下訴外銀行という。)に対し根抵当権を設定し、その登記をすませた。同訴外銀行は根抵当権の実行として右「変更前の建物」のみにつき東京地方裁判所に競売の申立をなし、昭和二九年八月一六日その競売開始決定があり、同月一九日その開始申立の登記がなされ、競売手続が進められて、原告は昭和三二年九月三日その競落人となり、その結果「変更後の建物」の所有権を取得し、同年一〇月八日その建物全部の所有権移転登記をすませた。よつて原告は本件宅地全部につき民法三八八条により法定地上権を取得した。

二、原告が取得した法定地上権の及ぶ本件宅地上に別紙第三物件目録の各建物(以下本件建物という)が存在しており、別表中「現在の所有者」欄の各被告らが同欄記載の日時からそれぞれの本件建物を所有し、また、別表中「現在の占有者」欄の各被告らがそれぞれの本件建物を占有している。しかし、いづれの被告もその建物の敷地部分の利用につき原告に対抗し得る何らの権限を有していない。

三、本件建物はいづれも被告渡部により建築され、現在の所有者が取得した経過は別表各記載のとおりであり、本件建物の建築された事情、および現在の所有者といえどもその各所有する建物の正当な敷地利用権を有しない事情は次のとおりである。

1、訴外岡田憲二が本件宅地を「変更前の建物」から立ち退いて他に居住したのに乗じ、被告渡部は訴外山田芳太郎(右訴外銀行の後順位抵当権者で訴外岡田の債権者であつた)から依頼された留守番であると自称して入居し、居住していたことを奇貨として、本件競売開始決定があり、その開始申立の登記後、その競売手続進行期間中に、何等の権限なくして「変更前の建物」のたる「一の建物」の旧仲仙道に面した部分(別紙第一図面に示すような位置に実測三八坪で間どりも同図面に示すとおりであつた)を一部取り毀わし、別紙第二図面の「一の建物」として示すように残存するにすぎず、その取り毀わした処に本件「ロ、ハの建物」を建築した。更に別紙第一物件目録の「三、四の建物」(変更前の三、四の建物)が別紙第一図面の示す位置にあつたのを別紙第二図面の示す位置へ移築し、別表の建築時期に本件「イ、(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)、の建物」を建築したのである。このように被告渡部が本件建物を建築するにつき、本件宅地の真実の所有者たる訴外岡田に無断であるばかりでなく、登記簿上の所有名義人訴外林篁にも無断であり、また、訴外岡田の破産管財人坂本忠助(訴外岡田が昭和三〇年二月二五日破産宣告を受け、その管財人に選任された者)の承諾もなかつたのである。その後原告が法定地上権取得後も現在の所有者たる被告らはその各建物の敷地利用権原を何ら取得しておらない。従つて原告が取得した右法定地上権に対抗し得ない建物である。

2、本件宅地と「変更前の建物」とにつき昭和二九年五月一一日に訴外林篁のため所有権取得登記がなされているが、それは不真正のものである。すなわち、所有者である訴外岡田の意思にもとづく所有権移転に伴う登記でないことは、訴外岡田の破産管財人が訴外林篁に対する右所有権取得登記抹消請求事件(静岡地方裁判所沼津支部昭和三二年(ワ)第一八二号)により訴外林篁は右本件宅地の所有権取得登記を抹消すべしとの判決が昭和三三年六月五日なされて確定しているから明かである。従つて訴外林篁は本件宅地の所有権者でなかつたから、仮に被告らが登記簿上の所有者だつた同訴外人から本件建物の敷地使用権を取得したとしても、それは権限のない者からのものであつて正当な使用権原を取得したことにならない。

3、仮りに本件各建物の敷地使用権を訴外林篁から取得して、それが適法であつたとしても、本件競売開始申立の登記が昭和二九年八月一九日になされたことにより、「変更前の建物」に対し差押の効力が生じたのはもちろんのこと、その従物たる右建物の土地利用権(未だこの段階では顕在化しておらず、競落になつた場合に顕在化する筈の潜在的な法定地上権)にまでも右差押の効力が及ぶものと解すべきであるから、訴外林篁がこの潜在的な法定地上権を処分(例えば賃貸等)したとしても、この処分は抵当権者、従つてまた、競落人に対抗し得ない。本件建物はいづれも右差押の効力を発生した後に建てられたのであるから、その敷地利用権は原告の取得した法定地上権に対抗し得ないものである。

以上いづれの点からしても本件各建物の各所有者たる被告らは各建物の敷地占有の正当権原を有しないため被告全員ともに原告の法定地上権の登記の欠缺を主張する利益を有しない。

四、よつて本件各建物の所有者たる被告ら(別表中「現在の所有者」欄の者)は原告が法定地上権を取得した本件宅地上に、原告に対抗し得る権原なくして本件建物をそれぞれ所有し、その敷地部分を各占有して原告の使用を妨げているので、その所有者に対しその所有建物を収去してその敷地部分の明渡をその敷地部分につき、原告に対抗できなくなつた時から以後一坪当り一ケ月金五〇円の割合の損害金(別表中「原告が上記建物所有者に対しその各敷地部分の不法占有による損害金を求める始期と金額」欄のとおり)の支払を求める。たゞし被告渡部に対しては損害金の合計四二五円になるが、その内金四〇〇円のみの支払を求める。また本件各建物の占有者たる被告ら(別表中「現在の占有者」欄の者)も結局において権限なく右各建物の敷地部分を占有していることになるから、それぞれの占有建物の敷地の明渡を求めるため各自の占有建物からの退去を求める。

第三、被告らの主張

一、被告本橋喜八郎の主張

1、原告主張のうち本件「イ建物」を被告本橋が所有し、同建物について昭和三三年四月二一日所有権取得登記を経て、その敷地部分を占有していることは認めるが、その余の事実を否認する。

2、右本件「イ建物」の敷地部分まで原告の法定地上権は及ばない。

被告本橋は本件「イ建物」をもとの所有者被告渡部豊から昭和三三年一月買受けたのであるが、それに伴い改めて本件宅地の所有者訴外林篁から本件「イ建物」の敷地部分二六坪につき賃料一ケ月金五二〇円、期間を二〇年と定めて賃借した。そして本件「イ建物」につき原告主張のとおり登記済であるから原告の本訴請求は失当である。

二、被告土屋テルヲの主張

1、原告主張のとおりの経緯により原告が「変更後の建物」を競落してその所有権取得登記を経たこと、被告土屋が本件「ロ建物」を買取り昭和三一年一二月一九日にその所有権取得登記を経て、その敷地部分を占有していることは認める。その余は争う。

2、原告の法定地上権の範囲は本件「ロ建物」の敷地部分まで及ぶものではない。すなわち原告が競落により取得した建物は「変更後の建物」であるからその建物の利用に必要な範囲の宅地について原告のため法定地上権が発生したものとみなすべきであり、競売開始決定の効力が生じた時期に存在した「変更前の建物」を競落したのではないから、旧状態における「変更前の建物」を基準にしてその建物の利用に必要な地上権を取得したものではない。

競売開始決定当時から競落当時までの間に抵当物件に事実上の変更があつたときは、その原因如何により、その利害関係者相互に、新たな権利義務が発生することはあるにしても、競落人としては原則として競落時の物件を現認してその新状態で競落しているにすぎず、何ら不測の損害を蒙る虞れもない。従つて「変更前の建物」について法定地上権が発生したものでない以上、とりわけ変更前の状態や元の出入口が本件「ロ建物」の敷地部分に存在したとか等は、もはや問題外のことであり、被告土屋との関係においては競落当時存在していた変更後の「一の建物」の利用に必要な範囲として本件「ロ建物」敷地部分まで及ぶものか否かで決めるべきところ、変更後の「一の建物」と「ロ建物」との間隔は一米余もあり、「変更後の建物」の利用には他に広い空地もあつて、「ロ建物」の敷地を利用しなくても充分である。本件「ロ建物」の敷地部分にまで原告の法定地上権は及ばない。

3、右「ロ建物」は原告が「変更後の建物」を競落するはるか以前に、訴外盤悌興業株式会社により建築され、その際敷地部分の利用につき地主訴外林篁の承諾を得た適法なものであつて、被告土屋としては右「ロ建物」を買取るとともに、この借地権をも承継したのであるから右「ロ建物」の敷地部分の占有は右借地権に基く適法なものである。

4、仮に競売開始申立の登記による差押の効力が原告主張の如きものであるとしても、被告土屋は右「ロ建物」の敷地部分につき正当な借地権者であり、かつ、右建物は既に昭和三一年六月一八日に右訴外会社のため保存登記を経由しているのであるから、原告の未登記法定地上権をもつてしては被告土屋の借地権に対抗できない。よつて原告の被告土屋に対する請求は失当である。

三、被告本間敏夫、同長林義三の主張

1、原告主張のうち、被告本間が本件「ハ建物」を訴外山木誠八郎から買取り昭和三一年一二月一九日その所有権取得登記を経ていること、被告長林が右建物を占有していること、そしてその敷地部分を占有していることはいずれも認めるが、その余の事実は争う。

2、仮に原告主張の経緯により原告が「変更後の建物」を競落により取得し、その建物のために法定地上権を取得したとしても、右「ハ建物」の敷地部分にまでその法定地上権の範囲は及ばない。すなわち、競売開始決定後競落までの間に抵当建物に事実上の変化を来たし、原告はその「変更後の建物」を取得したにすぎず、従つてその建物の利用に必要な範囲につき法定地上権が設定されたものとみなされることになり、旧き状態の建物、とりわけ、「変更前の建物」の「一の建物」の一部が取り毀されその空いた敷地に建築された本件「ロ、ハ建物」と変更後の「一の建物」とは全然別個である以上、元あつた建物や出入口等は最早問題外であるから本件「ハ建物」の敷地にまで原告の法定地上権は及ばない。

3、本件「ハ建物」は訴外盤悌興業株式会社により「ロ建物」と共に建築され、その際敷地の利用につき地主訴外林篁の承諾を得たものであり、被告本間としては右建物を買取るとともに、この借地権をも承継したのであるからその敷地部分を借地権に基き適法に占有しているのである。従つてもしかりに、競売開始申立の登記による差押の効力が原告主張のとおりであつて本件「ハ建物」の敷地部分にまで原告の法定地上権が及ぶとしても、その範囲期間も不明瞭であり、かつ、原告の主張する右法定地上権は未登記であるため、第三者たる被告本間が原告の競落する以前に右建物を買取りその登記もしたので建物登記により借地権が対抗力を生じている以上、被告本間に対抗できない。よつて被告本間に対する本訴請求は理由なく、従つてまた、右建物を占有する被告長林に対する退去を求める請求も理由がない。

四、被告船津平吉の主張

1、原告主張のうち、被告船津が本件「(ホ)建物」の所有権を取得し、昭和三三年六月二七日にその所有権取得登記をすませ、その敷地部分を占有していることは認めるが、その余は争う。

2、仮に原告が法定地上権を取得したとしても、その範囲は本件「(ホ)建物」の敷地部分にまで及ぶものではない。

3、被告船津は右建物の所有権取得に際し、その敷地部分として十坪につき被告渡部が地主訴外林篁に対して有していた賃借権を同訴人の承諾を得て譲り受けており、この賃借権は被告渡部が昭和三一年七月二一日右建物の保存登記をすませたことにより建物保護法による対抗力を有するから、原告の未登記法定地上権に対抗できる。よつて原告の請求は理由がない。

五、被告館林マス、同吉田ヨシ子の主張

1、被告館林が本件「(ロ)(ニ)(ホ)の建物」を現在占有していることは認める。しかしその占有は所有者被告渡部から「(ロ)(ニ)建物」を、また「(ホ)建物」につきその所有者被告船津からそれぞれ適法に賃借していることによるものであるから原告の請求に応じられない。

2、被告吉田が本件「(ハ)1、(ニ)建物」を現在占有していることは認める。しかし、その占有していることは、右建物につきその所有者被告渡部から適法に賃借しているのであるから、原告の請求に応じられない。

六、被告渡部豊は適式の呼出を受けながら本件口頭弁論期日に出頭せず、陳述したものとみなすべき書面も提出せず、その代理人が昭和三五年五月二七日の本件口頭弁論期日にのみ出頭したが、何らの主張もしなかつた。

七、被告広田永治は昭和三五年五月一三日の本件口頭弁論期日にのみ出頭したが、何らの主張立証もなさず、その他陳述したものとみなすべき書面も提出していない。

八、被告大橋基良、同中田正一、同広田永次郎はいづれも適式の呼出を受けながら本件口頭弁論期日に出頭せず、かつ、陳述したものとみなすべき書面も提出していない。

第四、証拠

原告は甲第一ないし第一〇号証を提出し、証人岡田憲二、同榎英久の証言および検証の結果を援用し、乙第一号証の成立を認め、丙第一号証の一、二は不知と述べた。

被告長林同本間は乙第一号証を提出し、証人山木誠八郎の証言および被告渡部豊本人尋問の結果を援用し、甲第一ないし第三号証、同第六ないし第一〇号証の各成立を認め同第四、五号証はいづれも不知と述べた。

被告土屋は丁第一号証を提出し、甲各号証について被告長林、同本間と同様の認否をした。

被告本橋は丙第一号証の一、二を提出したまま、甲各号証の認否しない。

理由

第一、「変更前の建物」とその敷地たる本件宅地は訴外岡田憲二の所有であつたが、同訴外人は昭和二三年一二月一七日訴外日本無尽株式会社(後に株式会社日本相互銀行と改称)に対し右宅地建物につき根抵当権を設定し、その登記を経由した。同訴外銀行は右根抵当権の実行として右建物」のみに対し東京地方裁判所に競売を申し立て、同裁判所は昭和二九年八月一六日競売手続開始決定をなし、同月一九日右決定にもとづいて競売申立の登記がなされた。その後右競売手続が進められ、原告は昭和三二年九月三日現存する「変更後の建物」を競落して所有権を取得し、同年一〇月八日所有権移転登記をすませた。以上の事実につき、被告土屋はこれを認め、被告館林、同吉田はいづれもこれを明らかに争わないから自白したものとみなすべく、被告本橋、同本間、同長林、同船津はいづれもこれを争うので判断するに、甲第一ないし第三号証第八号証(いづれも被告本間、同長林、同土屋はその成立を認め、同本橋、同船津はこの認否をなさないが、公文書であるので真正に成立したものと認められる)証人岡田憲二の証言により真正に成立したものと認められる甲第四号証、証人榎英之の証言により真正に成立したものと認められる甲第五号証、人証岡田憲二の証言、被告渡部豊の本人尋問の結果、を綜合すれば、右の事実を認めることができる。

第二、被告本橋が本件「イ建物」を昭和三三年四月二一日から、同土屋が本件「ロ建物」を、同本間が本件「ハ建物」をいづれも昭和三一年一二月一九日から、同船津が本件「(ホ)建物」を昭和三三年六月二七日から各所有して、その敷地部分を占有していること、又、同長林が本件「ハ建物」を、同館林が本件「(ロ)、(ニ)、(ホ)、建物」を、同吉田が本件「(ハ)2、(ニ)建物」を各占有してその敷地部分を占有していることはそれぞれの被告と原告との間に争のないところである。

第三、原告は、右競売手続において「変更後の建物」の所有権を競落により取得したのでその敷地たる本件宅地全部につき民法第三八八条により、法定地上権を取得したが、この法定地上権に対抗し得る何らの権限なくして、本件宅地上に、本件各建物をその各所有者(別表中「現在の所有者」欄の被告ら)たる被告らが所有し、その建物の占有者(別表中「現在の占有者」欄の被告ら)たる被告らが占有してそれぞれ各建物の敷地部分を占有している旨主張し、本件「イ建物」所有者被告本橋、「ロ建物」所有者被告土屋、「ハ建物」所有者被告本間、同建物の占有者被告長林、「(ホ)建物」所有者被告船津はいずれも各自の建物敷地部分にまで原告の取得した法定地上権は及ぶものでなく、その範囲外に存在している旨抗争するので、まず原告の取得した法定地上権の範囲および効力につき判断する。

一、右認定事実、前掲証拠、検証の結果および甲第六、七、九、一〇号証(被告土屋、同本間、同長林はいづれもその成立を認めるが、被告本橋同船津において認否をなさないけれども、その成立について明に争わないのでその真正なことを自白したものとみなす。)を綜合すれば次の事実を認めることができる。

1、「変更前の建物」の状態

訴外岡田が訴外銀行に対し根抵当権を設定し、同訴外銀行がその根抵当権実行として競売開始を申立ててその旨の登記がなされた当時のいわゆる「変更前の建物」六棟は、別紙第一図面に示すように配置され、かつ、その六棟の敷地としての本件宅地は(その建物の内「一の建物」が旧仲仙道に面した部分を除き)板塀或はトタン塀をもつて周囲が区画されていたこと、右「一の建物」は同図面でも判るとおり、旧仲仙道であり商店街に面した部分に六畳、玄関(間口一間)、一〇畳位のタタキとがあり、その後部に四畳半、六畳、台所、それに廊下とが続き、更にその後に「ニの建物」との間に残存している六畳と八畳板張りが一間と続いていた大きな建物(実測三八坪)であつたこと、その「一、三、四の建物」でかこまれた庭には相当古い松の木やその他の樹木が植込まれかつ、相当大きな石燈籠も配置されて一体としての庭園を形成していたものであり、「二の建物」(倉庫)の背後にも樹木が植込まれていたこと、「変更前の建物」全体としては表入口として右「一の建物」の旧仲仙道に面したところに玄関および店舗の出入口があり、敷地の南西隅に裏口としての通用門があつた。なお「一の建物」と「三の建物」とは廊下でつながれていた。旧仲仙道は商店街であるから、商売上の利用価値は、その「一の建物」の旧仲仙道に面した部分がより一層高いものであつた。

2、右「変更前の建物」が変更され、本件建物が建築された事情と競落時の状態

訴外岡田は右「変更前の建物」により先祖からの質屋を営んでいたけれども、或る事業に手を出して、これが失敗し、借財を重ね、金貸業の訴外山田芳太郎からも借金し、同人のために訴外銀行の後順位として本件宅地と「変更前の建物」とを担保に供し、引続き、訴外山田は自己の債権保全のためと称し勝手に自己の被使用人訴外林篁名義に昭和二九年五月一一日それらの所有権取得登記をなした。訴外岡田は右宅地建物から住居を他へ移し再興を計つたが遂に昭和三〇年二月二五日破産宣告を受けるに至つた(破産管財人に坂本忠助が選任された。)。訴外岡田が右宅地建物から立退いた直後昭和二九年七月下旬右訴外山田からの依頼を受けたものとして被告渡部が入居して管理にあたつていた。被告渡部は訴外磐悌興業株式会社(代表取締役は同被告)名義で右宅地建物を利用し、また新な建物をも建設しようと企て、訴外山田から金五〇〇万円で右宅地建物を買取り、自己の所有に帰属した以上如何様に処分してもよいとの前提のもとに、右建物(「変更前の建物」)に対し本件競売申立の登記がなされた昭和二九年八月一九日以後次のとおりのことをなした。

(1)  右建物のうち「一の建物」は既に認定したように旧仲仙道に面した実測三八坪もある大きな建物であつたのを、現存する六畳、八畳、板張りの各一間とそれに附随した廊下を残して昭和三〇年五月頃までに取り毀わし、その空いた土地に全く別個の本件「ロ、ハ建物」(一棟の内二つに区分所有されている)を変更後の「一の建物」と一米余の間隔をおいて新築した。

(2)  右の行為に引続き、別紙第一図面に示す位置にあつた変更前の「三の建物」(本屋たる「一の建物」と廊下で続いていたいわゆる離れ屋)と変更前の「四の建物」(物置になつていた)を別紙第二図面に示す三、と四との位置に移築した。

(3)  更に昭和三一年中に本件「イ、(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)の各建物」を別紙第二図面に示す位置に新築した。「変更後の建物」と右新築建物との間隔の情況は「イ、(ロ)、(ハ)、(ホ)建物」が「二の建物」(倉庫)と殆んど密着しており、「(イ)建物」が「三の建物」に「(ニ)建物」が「四の建物」と各密着している。そして「三の建物」と「(ホ)(ロ)建物」との間隔はやつと人が通行できる位の狭さであり、「(ロ)(ハ)建物」と「四、六の建物」との間も同様に極めて狭く、現在では人の出入り等により不潔なほどになつている。

(4)  以上のことをなすにつき「変更前の建物」の庭の植込み等も荒らし、現在ではわずかに「一、の建物」の南東に面した庭に古い松の木一本と石燈籠一個、若干の石塊、小さな植木が少々残されている程度にすぎず、本件「イ建物」、「一の建物」本件「ロ建物」の各東南に面した部分が別紙第二図面に示す様に相当広い空地になつている。(現在は、そしてこの様に変更が加えられた建物および新築された「イ、(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)建物」への通路は別紙第二図面の<1><2><3><4>で示す部分を出入口とし、「イの建物」は廊下の端に簡単な出入戸口を設けている。)

二、以上認定の事実関係からすると、

1、「変更前の建物」がそのまゝの状態で原告の競落時まで存続していたと仮定した場合には、原告主張のとおりの法定地上権が成立したことは疑がない。その法定地上権の範囲は競落建物がたゞ地上に存立しうるだけの最小限に限ぎられるものではなく、その建物の従来の使用目的からしてその価値を損じない程度に使用しうる限度で建物との一体性を保持する範囲に及ぶものとすべきであり、前記認定の状況からすれば、原告主張の地上権の範囲は正に前記建物を店舗および住居として使用する上で必要であり、かつ、同建物の敷地としてそれと一体をなしていると認められるからである。

2、ところで、右「変更前の建物」は前認定のとおりの経過で一部は移築され、一部はこわされ、庭園は荒されて競落建物のために使用されるのに適合した庭園としての存在を失つており、その競落時においては原告主張の土地の範囲は必ずしも全部右「変更後の建物」使用上必要であり、かつ、それと一体となつた状況になつていない部分のあることは否定できない。それでは、右「変更後の建物」の状態で法定地上権の範囲を判定すべきであろうか。当裁判所は次の理由で、本件の場合なお原告主張の範囲で、その主張の地上権が設定されたもとし、しかも、その範囲内で、前記のとおり競売開始決定後存立するに至つた前記各被告等の所有または占有する建物については、その所有、占有を以つて原告に対抗し得ないものと判断する。すなわち、

(1)  建物について競売開始決定があり、その旨の登記がなされるときは、その建物について差押と同一の効力を生じ、その効力は建物に附随する敷地の利用関係にも及ぶことは、建物が敷地と離れて存在しえないことからも当然であつて、その効果としてその建物はもちろんその土地利用関係もこれを処分してもその法的効果を以つて抵当権者に対抗し得ず、後に競落によつて、その関係は建物競落人に承継されるものである。本件の場合、建物の一部は同一敷地内で移築され、一部はこわされ、建物に附随する利用関係を変更するような庭園の破壊的行為がなされたことは前記のとおりであるが、右こわされた建物部分についての競売開始、したがつて競落の効力如何はしばらく別としても、そのこわされた建物部分の敷地(「ロ、ハ建物」の敷地)もなお残存建物部分の使用上(とくに従来どおりの店舗として使用する上では)商店街に直接し、店舗の出入口として利用するのに不可欠な状態にあることは前認定によつて明であり、右一部移築や、庭園利用の変更という事実上の行為はもとより以上の競売開始決定の効力に影響を及ぼすものではない。したがつて、前記のとおり、原告がその主張のとおり建物の競落人となつた以上「変更前の建物」のための土地利用範囲と同様の範囲について、結局法定地上権を取得し、しかも、競売開始決定の登記後である前記各被告の右土地範囲における建物所有および占有はいずれも前記差押の効力により原告に対抗しえない借地権その他の土地利用関係に基くものであることは前記被告等の主張自体から明であつて、原告の右法定地上権の行使を妨げるものとして排除されるべきものとする外はない。

(2)  以上の結論によつても、もともと本件土地はすでに抵当建物の存在によつて一種の負担を負つているのであつて、以上結論のような制約があるからといつて、特段に土地の価値を減ずるものではなく、右建物の競落によつて、その競落の対象となつていない右敷地所有者に別段に損害を与えるものではない。

(3)  また競売の制度および実際からしても、競売裁判所は競売開始決定後所定手続を経て直ちに競売物件の評価等をなし、それに基いて最低競売価格を定める等競売条件を定め、その調査結果を記録に止めて一般に閲覧させ、それに基いて競買人が入札をするのであつて、その後の競売物件の状況変動を常に調査して記録に止めるとは保し難く、その後競落の効果発生時までの間、競売物件の価値の変動にともなつて常に右競売条件を変更していないし、また機動的に変更しない場合もあり、現に前出甲第八号証によれば、前記原告の競落に際し「変更前の建物」の状態で競売のための鑑定がなされたまゝであることが推察される。そして競買人としては入札前、現地について競売物件を検分することは実際問題として行われるかも知れないが、それは競売制度の予定するところではなく、競売裁判所による前記調査の結果に重きをおくこともまた自然であつてみれば、制度のたてまえとしてはむしろ、競落人は前記競売裁判所の諸調査の結果およびそれに基く競売条件の前提事実を現存するものとして扱うべきであるといえよう。

一方抵当権者としては競売開始後競落までの間に行われた競売物件の価値の減損については別に損害賠償を以つて報われるかも知れないが、その損害賠償請求権にはもはや何等の物的担保がないことになる。前記結論によれば、抵当権者は別に損害賠償請求権を競合的にもつか否かは別としてあえて名ばかりでおそらく実効の伴わない損害賠償請求の手段をとるよりも遙に保護が厚く、さらに紛争をいたずらに複雑に拡大せずにすむであろう。

三、原告の右法定地上権について登記がなされていないことは原告のみずから認めるところであるが、その地上権は正に法律によつて新に設定されたものであるから、その性質上(他から譲渡を受け、または他に譲渡した場合は別として)、登記がなくとも何人にも対抗し得るものである。したがつて、その登記のないことを前提として主張する被告等の抗弁はすべてさらに判断するまでもなく失当である。

四、以上のとおりであるから、前記各被告らは原告の取得した前記法定地上権の行使を妨げることはできず、原告に対し、以上各被告らの所有する家屋を収去し、またはその占有する建物から退去して、各建物敷地を明渡すべき義務がある。

第四、前出の甲第六号証、検証の結果を綜合すれば本件宅地の立地条件がよく、その時価も相当高いと考えられるので、原告がその部分を問はず、これを利用できないことによる賃料相当の損失はその主張の間少くとも一坪につき一ケ月金五〇円であると認められるので、その割合による原告の損害の算定も理由があり、前記被告らはいずれも少くとも以上の法理および事実関係の調査に欠けたことによる過失があり、その建物を所有または占有する坪数、期間に応じ、右割合によつて算出される損害を原告の請求する限度で賠償する義務がある。

第五、(1) 以上の次第であるから被告本橋、同土屋、同本間、同長林、同船津、同館林、同吉田に対する本訴請求は全部理由がある。

(2)  被告渡部はその訴訟代理人をして昭和三五年五月二七日本件口頭弁論期日に出頭させたが何らの主張をなさず、その他陳述したものとみなすべき書面も提出していないから、原告主張の事実を全部自白したものとみなすべきである。そして、その各事実からすれば、原告請求中本件「イ建物」からの退去を求める部分、および本件「(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)建物」の各収去およびその敷地八坪五合の明渡を求める部分はいづれも正当であるが、損害金を求める点については原告の主張自体一部理由がないので主文掲記の範囲のみにつき正当である。すなわち、原告は昭和三二年一〇月八日以降本件「(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)建物」の敷地合計八坪五合に対する損害賠償として一ケ月金四〇〇円(一坪につき一ケ月五〇円の割合による合計四二五円の内の四〇〇円である)を請求しているけれども、その主張からすると、同被告は本件「(イ)建物」を昭和三二年一二月中に、「(ロ)、(ハ)建物」を昭和三三年八月中に、「(ニ)建物」を昭和三一年七月にそれぞれ建築して以来所有しているとのことである。従つて昭和三二年一〇月八日以降求められるのは「(ニ)建物」の敷地(二合五勺)に対する一ケ月金一二円五〇銭のみということになり、また「(イ)建物」は昭和三二年一二月中に、「(ロ)(ハ)建物」は昭和三三年八月中に各建築したとの主張のため、各建築した月の何日か判明しないからもの翌月分から右損害賠償請求できると解すべきであるから、「(イ)建物」の敷地(一坪五合)に対する損害金は昭和三三年一月一日以降一ケ月金一三七円五〇銭になるから、これに同日以降「(ニ)建物」の敷地に対する右損害金を加算した合計金一五〇円を、更に同年九月一日以降は「(ロ)(ハ)建物」の敷地(五坪五合)に対する一ケ月金二七五円を加算した合計金四二五円の内から金四〇〇円の損害金の支払を求める範囲に限り理由があり、その余の部分は主張自体において失当である。

(3)  被告広田永治は昭和三五年五月一三日の本件口頭弁論期日に出頭したけれども何らの主張もなさず、その他陳述したものとみなすべき書面も提出しておらないから原告主張の事実を全部自白したものとみなすべきであり、又被告大橋基良、同広田永次郎、同中田正一はいづれも適式の呼出を受けながら本件口頭弁論期日に出頭せず、その他陳述したものとみなすべき書面も提出していないから、いづれも原告主張の事実を全部自白したものとみなすべきであつて、その各事実よりすれば被告広田永次、同大橋、同広田永次郎、同中田に対する各占有建物から退去を求める原告の本訴請求は理由がある。

よつて被告渡部に対する請求中右理由がありと認めた範囲につき正当として認容すべくその余の理由がないとした部分につき失当として棄却し、その余の被告らに対する各請求は全部理由があるからこれを正当として認容することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条、第九二条、第九三条を適用し、仮執行の宣言は金銭支払を命ずる部分のみについてこれを付し、建物の収去、同退去、土地明渡を命ずる部分については前記各認定の事情にかんがみ、和解による解決を期待してこれを付さないことゝし、同法一九六条第一項を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 畔上英治 三渕嘉子 龍前三郎)

第一物件目録

(原告が競落により取得した建物、略称「変更後の建物」、一ないし六の番号は別紙第二図面の各表示建物を示す。)

東京都板橋区板橋町五丁目六八九番地

家屋番号 同町二二三番

一、木造瓦葺平家建店舗 一棟

建坪 一六坪七合九勺(実測三八坪)

附属

二、土蔵造瓦葺二階建倉庫 一棟

建坪 八坪七合五勺(実測一一坪)

二階 八坪二合五勺(実測一一坪)

三、木造瓦葺平家建居宅 一棟

建坪 九坪二合五勺

四、木造トタン葺平家建居宅 一棟

建坪 四坪九合九勺(実測五坪七合五勺)

五、木造亜鉛葺平家建物置 一棟

建坪 五合

六、木造亜鉛葺平家建物置 一棟

建坪 七坪

第二物件目録

(原告が取得した旨主張する法定地上権の及ぶ宅地)(略称本件宅地)

一、東京都板橋区板橋町五丁目六八九番の一

宅地三七〇坪七合(実測三七七坪五五六)中別紙図面の青実線(――)で囲まれた部分の実測一七八坪五合九勺五才九五

二、同所同番の四

宅地五一坪五合七勺(別紙図面の青点線(台帳地積)で囲まれた部分)

以上合計二三〇坪一合六勺五才九五。

第三物件目録

(収去、退去して明渡を求める建物。頭部のイ、ロ、ハ、(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)はそれぞれ別紙第二図面の各表示部分を示す)(略称本件建物)

イ、東京都板橋区板橋町五丁目六八九番地

家屋番号 同町六八九番の三

一、木造瓦葺二階建居宅 一棟

建坪 九坪六合八勺

二階 八坪

同所同番地

一、木造瓦葺二階建店舗、居宅 一棟(この建物は次のロ、ハに区分所有となつている)

建坪 一四坪

二階 一四坪

ロ、家屋番号同町六八九番の二(右の建物のうち南西側部分)

一、木造瓦葺二階建店舗、居宅 一棟

建坪 七坪

二階 七坪

ハ、家屋番号同町六八九番の五(右建物のうち北西側部分)

一、木造瓦葺二階建店舗、居宅 一棟

建坪 七坪

二階 七坪

(イ) 東京都板橋区板橋町五丁目六八九番地

家屋番号 同町六八九番の八

一、木造瓦葺平家建居宅 一棟

建坪 一二坪七合五勺

(実測 一、木造鋼板葺平家建居宅 一棟・建坪 二坪七合五勺)

(ロ) 附属

木造鋼板葺平家建居宅 一棟

建坪 五坪二合五勺(実測一坪五合)

(ハ)の1 同所同番地

家屋番号 同町六八九番の九

一、木造鋼板葺平家建居宅 一棟

建坪 四坪の内北東側二坪

(ハ)の2 右建物の内南西側二坪

(ニ) 附属

一、木造鋼板葺平家建便所 一棟

建坪 二合五勺

(ホ) 同所同番地

家屋番号 同町六八九番の四

一、木造鋼板葺平家建事務所 一棟

建坪 四坪五合

別表 (原告の本件建物に関する主張)<省略>

別紙 第一図面、第二図面<省略>

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