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東京地方裁判所 昭和35年(ワ)2195号 判決

判   決

第一、当事者

一、原告(一) 東京都中野区

野方町二丁目一三二一番地

山内留次郎

同(二) 同都同区

鷺宮六丁目八二〇番地

三ケ島裕茂

右両名訴訟代理人弁護士

福間豊吉

二、被告同都新宿区

新宿二丁目一〇番地

株式会社日本物産

右代表者代表取締役

山口基道

右訴訟代理人弁護士

佐藤義弥

第二、主文

一、原告両名の請求を棄却する。

二、原告両名は連帯して訴訟費用を支払え。

第三、事実

一、請求の趣旨

1  昭和三五年二月一〇日開催の被告会社臨時株主総会においてなされた、訴外山口喜代子、同松山吉久及び同山本治儀を取締役に選任する、旨の決議は、無効であることを確認する。

2  被告は訴訟費用を支払え。

二、請求の趣旨に対する答弁

主文同旨

三、請求原因

1  原告両名は、被告会社の株主である。

2  請求の趣旨記載の通り、被告会社の株主総会における決議がなされた。

3  右決議は、その内容において定款に違反している。即ち、被告会社の定款は取締役の数を七名以内と定めているが、右決議当時、被告会社には既に原告両名を含む五名の取締役が選任されていたので、右決議により更に三名の取締役が選任されると、取締役の数は合計八名となり、定款所定の数を超えることになる。従つて、右決議は無効である。

四、請求原因に対する認否

1  第1項を否認する。

2  第2項を認める。

3  第3項を否認する。即ち、被告会社の定款が取締役の数を七名以内と定めていることは認めるが、右決議当時、原告両名は取締役を辞任したので、既に選任されていた取締役の数は三名となるから、右決議により選任された三名を加えても、取締役の数は合計六名となり、定款所定の数を超えることはない。従つて、右決議は無効ではない。

五、証拠≪省略≫

第四、理由

一、請求原因第1項について。被告は、原告両名が株主であることを否認しているけれども、同時に被告会社の設立に当り、原告山内は二〇〇〇株、同三ケ島は七〇〇株の株式の名義人になつたことを認めている。当裁判所は、一般に会社の株主を決するに当つて、株式の名義人を株主と認めるべきであると解するので、結局被告は原告が被告の株主であることを認めたことになる。

尤も、原告両名と被告代表者本人との合意の上で右株式の払込は被告代表者本人がなしたことは当事者間に争いがなく、更に、被告は、原告両名を取締役とすることにしたので、その便宜上名目だけの株式名義人としたのであつて、真実の株主は、払込人である被告代表者本人であると主張している。そして、右の被告主張の事実が仮りに認められ、以上の事実関係が全体として商法第二〇一条第二項の場合に当るとしても、当裁判所は、同法条の解釈として、たとえ株主名義人と実際に払込んだ者との間の債権債務関係はどのようなものであつて、対会社関係においては、名義人だけが株主となり、会社もこれを認めなければならないものと解する。従つて、本件では、原告両名は、被告会社の株主であると云わなければならない。

二、請求原因第2項は当事者間に争いがない。

三、請求原因第3項を認めることができない。

(証拠―省略)を綜合すると、昭和三四年五月二五日項、被告代表者山口が原告両名の保証により訴外浜野某に貸渡した金員が返済されなかつたことを原因として、原告両名と被告代表者山口との間にいざこざが起り、結局右日時に、原告山内は口頭により、同三ケ島は書面(乙三号証)により、被告代表者山口に対し、取締役を辞件する旨の意思表示をしたことを認めることができる。尤も、前記証拠によれば、その際原告両名が他に職を見つけるまでは被告会社が原告両名に対し給料を支払う旨の合意が原被告間に成立したことが認められるので、右辞任の意思表示は原告両名が他に職を見つけることを条件としたものと考えることができるが、原告山内は昭和三四年九月に、同三ケ島は昭和三五年一月に他に就職したことを認めることができるので、結局本件決議当時には、原告両名は取締役ではなかつたものと云わなければならない。右認定に反する原告両名の供述は信用しない。又、乙一、二号証は、証人(省略)の供述によれば、原告らの書いたものではなく、被告会社が本件決議後原告両名の取締役辞任の登記をするための必要書類の一として勝手に同証人に書かせたものであることを認めることができ、原告両名は右書面によつて辞任の意思表示をなしたものではないと云わなければならないが、既に認定した通り、原告両名は右書証作成以前に辞任しているのであるから、右書面の成立の真正でないことは右認定の妨げとはならない。他に右認定を左右する証拠はない。従つて、本件決議当時、取締役は三名であつた訳であるから、本件決議により更に三名を選任しても、合計六名となり定款所定の七名を超えないのであるから、本件決議は無効ではない。

四、訴訟費用の負担について民訴法第八九条第九三条適用。

昭和三八年四月二六日

東京地方裁判所民事第八部

裁判長判事 伊 東 秀 郎

判 事 武 藤 春 光

判事補 宍 戸 達 徳

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