大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和35年(ワ)2664号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔事実と判断〕原告は被告にたいし、昭和三四年六月中、金五〇万円を利息並に返済期限の定めなく貸付けたが、被告が返済をしないので、被告にたいし昭和三五年三月二四日到達の内容証明郵便で、民法第四一二条第三項に基き内容証明郵便到達の日から五日の期間内にみぎ金五〇万円を支払うよう催告した。しかるに被告は催告期間を経過してもみぎ金員を支払わないので本訴に及んだと述べた、被告は原告の請求は相当な催告期間を定めた請求とは云えないから失当であると抗弁した。

判決は返還の時期を定めない消費貸借契約における返還の時期については民法第五九一条の特則があり、貸主は相当の期限を定めて返還の催告をなすべきものと定められているが、本件においては、原告が定めた催告期間五日は同条にいう相当の期間に当たらないとして、原告の請求を棄却した。判決はかように判断した理由についてつぎのとおり説明している。曰く。

「ところで、原告が定めた催告期間である五日は、本件貸付金五〇万円を一時に請求するための準備期間としては到底不足であることは勿論本件最終口頭弁論期日(昭和三七年六月一三日)現在においても尚催告期間が不足であることは、右金五〇万円は、当時資金に窮していた被告の喫茶店開業の資金として、利息並びに返還期の定めなく、貸付けられたものであること、(右の事実のうち、利息並びに返還期の定めがないことは当事者間に争がないところであり、その余の点は、原、被告各本人尋問の結果により認められる。)及び原告本人尋問の結果中の「私は被告に五〇万円貸す時は三、四年たつたら返して貰えるものと思つていました。」との供述等から十分認められるところである。(原告主張の消費貸借契約成立の日時は昭和三四年六月中であり、その時から本件口頭弁論終結時((昭和三七年六月十三日))迄は約三ケ年間である)。」

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!