東京地方裁判所 昭和35年(ワ)6226号 判決 1963年2月12日
主文
原告に対し
被告永田恒子は、別紙目録記載の建物を収去して、被告永田守は、別紙目録記載の建物を退去して、いずれも別紙目録記載の土地を明渡せ。
訴訟費用は、被告らの負担とする。
この判決は、仮に執行することができる。
事実
第一 当事者の求める裁判
原告は、主文同旨の判決並びに仮執行の宣言を求める。
被告らは、請求棄却の判決を求める。
第二 請求原因
別紙目録記載の土地は、小杉金太郎の所有であつたが、同人が昭和三一年七月一九日死亡し、原告とその弟妹四名が同日相続により所有権を取得し、原告らの共有に属する。
被告恒子は、別紙目録記載の建物を所有し、被告守は、右建物に居住し、いずれも右土地を占有している。
よつて、原告は、共有権にもとづき、被告恒子に対しては、右建物を収去して、被告守に対しては、右建物から退去して、いずれも右土地を明渡すことを求める。
第三 被告らの答弁並びに抗弁
小杉金太郎死亡の日時は知らない。別紙目録記載の土地につき、原告らが共有権を有することを否認し、その余の事実を認める。
福西潤は、昭和三三年一〇月三〇日原告及び原告以外の共有者の代理人である原告から、本件土地を買受け、その所有権を取得した。
右が理由ないとしても、被告恒子は、昭和三四年二月一九日尚且から本件土地の賃借権を譲受け、賃貸人である原告らの承諾をえた。したがつて、原告恒子は、右賃借権にもとづき本件土地を占有し、被告守は被告恒子の夫であり、同被告と同居して右賃借権の範囲内でこれを占有している。
第四 被告らの抗弁に対する原告の認否並びに再抗弁
福西潤と原告らとの売買契約の成立及び昭和三四年二月一九日当時尚且が本件土地の賃借権者であることを認める。賃借権譲渡の事実を知らない。原告らが賃借権譲渡の承諾をしたことは否認する。
福西潤と原告らとの売買契約は、解除された。原告らは契約成立と同時に手附金六〇万円を受領し、残代金の支払期日を昭和三四年八月末日と定めた。原告らは、昭和三四年九月三日到達の書面により福西潤に対し、書面到達後七日内に代金を支払うべき旨の催告並びに不払を条件とする契約解除の意思表示をし、更に同人の懇望により昭和三四年九月一九日まで代金支払を猶予したが、代金の支払はない。よつて、売買契約は、同日解除された。
第五 原告の再抗弁に対する被告らの認否
原告主張の事実は知らない。
第六 証拠(省略)
別紙
目録
土地
東京都目黒区柿の木坂壱〇六番地参
宅地 百九拾五坪八合弐勺の内
別紙図面に表示する<2>及<3>の宅地百参坪弐合弐勺
建物
東京都目黒区柿の木坂壱〇六番壱
家屋番号同町壱〇六番
一、木造瓦葺弐階建 居宅 壱棟
建坪 弐拾六坪五合
弐階 拾五坪
同所所在(未登記)
木造瓦葺平家建車庫壱棟
建坪 四坪
<省略>