東京地方裁判所 昭和35年(ワ)6950号 判決 1970年6月30日
原告
益田正男
外一九一名
代理人
青柳盛雄
外三名
被告
東京電力株式会社
代理人
橋本武人
外六名
主文
1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。
事実<省略>
理由
一、請求の原因一、二記載の事実は当事者間に争いがない。
二、ところで、原告らは、被告が原告らと関配あるいは日発間の雇用契約上の雇用主たる地位を承継したかまたは原告らを新規採用したことにより、被告の従業員たる地位を取得したと主張し、被告はこれを争うので、この点について判断する。
(一) まず、被告設立の経緯についてみてみよう。
被告が昭和二六年五月一日再編成令、集排法、特例法等に基づき関配および日発を発起人とし電気事業の経営を目的として設立されたものであることは前記のように当事者間に争いのないところ、<証拠>によれば、その設立の経緯の概要はつぎのとおりであることが認められる。
すなわち、太平洋戦争の終結とともにわが国に進駐した連合軍は、わが国の社会経済全般にわたる民主化の大方針を打ち出し、独占企業の排除、財閥の解体等を強力に推し進めてきたが、その最終的かつもつとも決定的な施策は昭和二二年一二月一八日からの集排法の施行であつた。そして、支那事変を契機として強力な国家管理のもとにおかれ、終戦とともにその基盤を失い、重大な転機にあつた電気事業も、昭和二三年二月二二日関配を含む九配電会社および日発が右集排法に定める経済力の過度の集中として指定を受け、それ以後再編成後に現出する企業形態いかんをめぐつて議論百出したが、最終的には連合国最高司令官の昭和二五年一一月二二日付吉田内閣総理大臣あて書簡に基づく要請により同月二四日いわゆるポツダム政令の方式で再編成令(および公益事業令)が公布(同年一二月一五日施行)され、これによつて電気事業の再編成、発電、送電および配電を一貫して行なう各独立の事業体制によることとし、この点に関しては集排法および特例法の規定によるほか再編成令の定めるところによること(同令第一条第二条)、そして、その基本的方策としては、新たに同令別表第二に掲げる区域を電気供給区域とする九つの電気事業会社(以下これを「新会社」という。)を設立し、同令別表第一に掲げる関配を含む九配電会社および日発は解散して、その有する資産のうち同令別表第三に掲げるダム、水路、貯水池等の電気工作物を同表に定める区分に従い新会社に出資または譲渡し、また、債務もこれに見合う資産とともに新会社に承継させるものとし、以上の事項は企業再編成計画書において具体的に定めらるべきこと(同令第三条、特例法第二条、整備法第一〇条)が決定された。そこで、関配および日発においても、それぞれ集排法第七条第二項第七号、委員会規則第一八条、第一九条、再編成令第三条にのつとり企業再編成計画書を作成し、昭和二六年二月八日これを公益事業委員会に提出し(集排法第二〇条第三項参照)、同年三月三一日同法第一一条第二項、第三項、第五条第二項に基づき公告された右委員会の決定指令によりごく少部分を除くほか当初提出案どおり承認された。右承認を受けた関配および日発の各企業再編成計画書は、いうまでもなく再編成令が示した前記電気事業再編成の基本的方策にそつたものであつたが、これによれば、その大綱は、日発においては、関配を含む九配電会社とともに新たに被告を含む九つの電気事業会社を設立し、これに資産を現物出資または譲渡するとともに債務を承継させてみずからは解散するものとし、関配においては、日発とともに新会社たる被告を設立し、これに資産を現物出資または譲渡するとともに債務を承継させてみずからは解散するというものであつた。そして、関配および日発は、右各企業再編成計画書に基づいて発起設立の方法によつて被告を設立し、同年五月一日その登記手続を了するとともに、関配が同日、日発が同月一〇日それぞれ解散の登記をし、その後清算に入り前者が昭和二九年一一月二七日、後者が同年六月三〇日それぞれ清算を結了してその登記を終つた。
(二) そこで、つぎに、関配および日発から新会社たる被告への従業員の引継ぎの関係についてみてみることにしよう。
1 関配および日発の前記各企業再編成計画書の第一部第六項中の「諸契約の承継方法」の項に請求の原因三(一)3記載のような内容の定め(後出二(二)3参照)があつたことは当事者間に争いがない。そして、右各企業再編成計画書中他に従業員の引継ぎの関係について特別に定めた条項があることは当事者のいずれからもなんらの主張がなく、また、被告設立の根拠法規となつた再編成令、集排法その他の関係諸法令中にも右の点について定めた規定は見当たらないこと、それに<証拠>を合わせ考えると、関配および日発から被告への従業員の引継ぎは右各企業再編成計画書中の「諸契約の承継方法」の項に定めるところに従つて行なわれることが予定されていたものと解するのが相当である。<証拠判断省略>
2 しかして、集排法第一二条第二項によれば、企業再編成計画においては債権者、社債権者および株主の承認を得ないでこれらの者の権利を変更することが認められ、また、特例法第二条により準用される整備法第二九条によれば、決定指令により承認を受けた企業再編成計画に定める事項については法令、定款の定めまたは契約の条項にかかわらず株主総会または社債権者集会の決議を要せず、かつ、旧会社の株主および債権者ならびに新会社の発起人、株式引受人および株主を拘束するという強力な効果が付与されており、しかも、決定指令により承認を受けた企業再編成計画は所定の手続によらなければみだりにこれを変更することができないものとされ(集排法第一三条、第一四条および第一九条参照)、もつて企業再編成計画に定める事項の完全な実施が期せられている。
そして、決定指令により承認された企業再編成計画のもつ右のような強力な効果にかんがみると、関配および日発は、それぞれその従業員の被告への引継ぎを前記各企業再編成計画中の「諸契約の承継方法」の項に定めるところに従つて行なうべきことを法令上義務づけられ、これに違背することを許されなかつたということができる。
3 ところで、前記のように、関配および日発ともに右「諸契約の承継方法」の項の規定の仕方はほとんど同じであり、右両社が解散時において現に有する一切の公法上および私法上の諸契約、協約、諒解事項その他の法律行為に基づくすべての権利、義務および法律上の地位は、「特別の意思表示をしない限り」(関配の場合)または「留保分に関連するものを除き」(日発の場合)、全部新会社に承継される旨規定されている。すなわち、旧会社たる関配および日発の右のような権利、義務および法律上の地位は、原則として新会社に承継されるものとされ、ただ、例外として旧会社の方で特別の意思表示により留保したものについては承継から除外されるのである。この場合、右企業再編成計画書の条項の文言上からいえば、承継から除外されるべきものを特別の意思表示により留保するというのが本来のあり方であるが、特別の意思表示による留保を認める右規定の趣旨にかんがみれば、これとは逆に承継の対象となるべき権利、義務および法律上の地位を特別の意思表示により特定し、それ以外のものを承継から除外するという形をとることも必ずしも右規定の禁ずるところではないと解される。すなわち、承継されるべきものと承継から除外されるべきものとの区別が特別の意思表示によつて明らかにされることを要し、かつ、それで足りるというのが、右規定の趣旨とみるべきである。
4 そこで、以上のような前提に立つて、原告らが関配あるいは日発から被告への引継ぎの対象とされ、被告の従業員たる地位を取得するに至つたと認められるか否かをみるに、<証拠>によれば、関配において昭和二六年四月三〇日現在同社に在籍していた従業員について同日限りで停年退職したり任意退職した者を除いてその余のすべての従業員の人事カードを被告に引き渡して右人事カードに記載された者のみの引継ぎを求める意思表示をしたこと、日発においては、本店のほか全国に九つの支店があつたためその従業員の雇用関係をどのように分割して九つの新会社に承継させるかは大問題であつたが、結局、右九つの新会社との間にそれぞれに引き継いでもらう従業員の数を取り決め、そのうえで昭和二六年四月三〇日現在の在籍従業員について同日限りで停年退職したり任意退職したりした者を除いて従業員本人の希望その他諸般の事情を考慮しつつ人選を行ない右九新会社に対応した引継従業員名簿を作成したこと、そして、被告との関係では、関東支店に在籍する従業員のほぼ全員と本店に在籍する従業員の一部が被告に引き継がれることになり、その従業員名簿を記載した引継従業員名簿を被告に引き渡して右名簿に記載された者のみの引継ぎを求める意思表示をしたこと、そして、被告においては、関配および日発から引継ぎを求められた右人事カードあるいは引継従業員名簿の従業員についてはこれを承諾したこと、ところで、右引継ぎの当時、すでに、第一の(一)、(二)および第二グループの原告らは、本件解雇の意思表示(それが原告ら主張のような即時解雇の意思表示であるかあるいは被告主張のような合意解約の申込みの誘引と条件付解雇の意思表示であるかはしばらく措く。)を受け、所定期日までに任意退職の申出をせず、そのうえ、右第一の(一)および(二)グループの原告らはそれぞれ関配および日発との間に昭和二六年四月二七日抗弁二記載のような内容の裁判上の和解をし、第二グループの原告らは原告目録(一)記載の番号の原告青木松三を除きいずれも抗弁三記載のような経緯で解雇を承認し、また、第三の(一)および(二)グループの原告らはそれぞれ抗弁四記載のように関配および日発に任意退職の申出をしその承認を受けていて(右解雇の意思表示、裁判上の和解、解雇の承認および任意退職の申出の有無、退職申出の承認の事実は当事者間に争いがない。)、原告らは全員関配においても日発においても雇用関係が消滅したもの、すなわち、在籍しないものとして取り扱われていた関係上、右両社から被告に引き渡された人事カードあるいは引継従業員名簿には記載されず、被告はもちろん関配および日発においても引継ぎの対象として考えていなかつたこと、以上の事実を認めることができ、右認定に反する証拠はない。
そうとすれば、関配および日発の従業員のうち右人事カードあるいは引継従業員名簿に登載された者は、右両社が人事カードあるいは引継従業員名簿を被告に引き渡した際その引継ぎ、すなわち、雇用契約上の雇用主たる地位の承継を求める意思表示をし被告がこれを承諾したことにより、みずからこれを承諾していさえすれば被告の従業員たる地位を取得するに至つたというべきである(なお、雇用契約上の雇用主たる地位の譲渡が労働者に対する関係でも有効であるためには、譲渡人(雇用主)と譲受人間の譲渡契約のほかに、少なくとも労働者の承諾が必要というべきであるが、関配および日発から被告へ引き継がれた従業員が右被告の従業員たる地位の取得に当たつて右引継ぎを承諾する旨の意思表示をしたか否かあるいは被告主張のように被告との間に新たな雇用契約の締結までなされたか否かは、本件の判断に当たつて必要なことではないので、ここではあえて立ち入らない。)が、原告らは、右人事カードあるいは引継従業員名簿に登載されず、したがつて、関配あるいは日発から被告への引継ぎの対象とされなかつたことにより、被告の従業員たる地位を取得しなかつたものというほかない。
5 もつとも、仮に前記解雇をはじめ裁判上の和解、解雇の承認および任意退職が原告らの主張するようにいずれも無効であり、かつ、そのことが引継ぎの対象決定の基準日となつた昭和二六年四月三〇日までに明確になつていたとしたら、おそらく、原告らも右人事カードあるいは引継従業員名簿に登載されて引継ぎの対象とされ、被告の従業員たる地位を取得していたであろうことは一応推測されるが、前記のように電気事業の再編成は企業再編成計画書に定めるところに従つて行なわれるべきことが法令上義務づけられ、関配および日発の各企業再編成計画書によれば従業員の雇用関係の承継も承継されるべきものあるいは承継から除外されるべきものを特別の意思表示によつて特定して行なうこととしていたのであるから、仮に右のように原告らの解雇等が無効であるとしても、人事カードあるいは引継従業員名簿に登載されず引継ぎを求める意思表示の対象とならなかつた以上、原告らがその雇用関係を被告に承継されず被告の従業員たる地位を取得しえなかつたことはやむをえないものといわなければならない。
この点に関連して、原告らは、請求の原因五において、関配および日発が特別の意思表示により原告を承継の対象から除外したことは無効である旨主張するが、前記のように被告への従業員の引継ぎは引き継がれるべき従業員を特定してなされているのであるから、仮に原告らを引継ぎの対象としなかつたことが原告ら主張のような理由に基づくものであり違法であるとしても、それによつてただちに関配および日発が被告に対し原告らの引継ぎを求める意思表示をしたことになるものではないから原告らは被告の従業員たる地位を取得するに由なく、したがつて、原告らの右主張はその余の点について判断するまでもなく失当である。
(三) 原告らは、請求の原因三(一)において、被告が関配および日発の有形無形の資産と労働力の組合組織である企業を実質的に承継していること、被告設立の根拠法規の全趣旨ならびに関配および日発の各企業再編成計画書の定めのいずれからみても、右両社の従業員の雇用関係は特別の意思表示により留保されたものを除き法律上当然に一括して被告に承継されたとみるべきである旨主張する。しかしながら、原告らの右主張は採用できない。すなわち、本件の場合被告が関配および日発の企業を実質的に承継したものといえるかどうかがまず問題であるが、その点はしばらく措き、仮にこれを肯定するにしても、その場合の権利義務の移転方法には種々ありうるのであつて、右のことからただちに関配および日発の従業員の雇用関係が法律上当然に、しかも、一括して被告に承継されると解すべき理由はまつたくないのみならず、かえつて、被告設立の根拠法規とこれに基づき関配および日発が作成し公益事業委員会の承認を受けた右両社の各企業再編成計画書の定めとによれば、前記のように関配および日発の両社はこれと別個独立の新会社たる被告を設立してこれに右両社の資産を現物出資または譲渡するとともに債務に承継させるものとし、従業員の引継ぎも右両社が特別の意思表示により被告に引き継ぐものあるいはそれから除外するものを特定して行なうものとされているのである。したがつて、原告らの右主張は、原告らの独自の見解というほかなく、その余の点について判断するまでもなく失当である。
(四) 原告らは、また、請求の原因三(二)において、関配の全従業員および日発の本店および関東支店所管の全従業員中、いずれも清算委員として留保した者を除くその余の全従業員の雇用主たる地位を関配または日発から被告に譲渡する旨の合意が被告と関配および日発との間にあつたから原告らは被告の従業員たる地位を取得した旨主張する。しかし、被告と関配あるいは日発間に右のような内容の合意があつたことはこれを認めるに足りる証拠はない。原告らは、右合意が存在したことの証左としてあれこれ主張する(請求の原因三(2)2)が、その主張する事実は、いずれも前記認定のような経緯で被告が関配および日発から人事カードまたは引継従業員名簿に基づきその従業員の雇用契約上の雇用主たる地位を承継したことによるものとみることができ、原告ら主張のような合意の存在を裏づけるに足りるものとはいえない。なお、一、二付言すれば、<証拠>によると、被告には年功休暇の制度がありその勤続年数の算定に当たつては関配または日発に入社した者はその日から起算される取扱いであり、また、<証拠>によると、被告においては退職金の計算に当つては関配および日発における勤続期間も被告におけるそれに通算する取扱いになつていることがそれぞれ認められるが、これも右に述べたように被告が関配および日発の従業員の雇用契約上の雇用主たる地位を承継したものである以上むしろ当然のことであり、さらに、明示の意思表示により退職した者以外に退職金を受領するものがいなかつたとの点も、被告に引き継がれた従業員は、前記事実から明らかなように、関配あるいは日発を退職して被告に新規採用されたわけではないから、退職金を受領しなかつたことはむしろ当然であり、いずれも原告らの右主張を裏づけるに足りるものではない。なお、被告は、特例法第二条によつて準用される整備法第三四条の三の規定をもつて関配および日発から被告への従業員の引継ぎが新規採用であることを裏書きするものである旨述べているが、右規定と同法第三四条の二の規定とを合わせ読めば、右第三四条の三の規定は、企業再編成計画を承認する決定指令のあつた日以後いつたん退職した役員または従業員で新会社の設立登記の日までに新会社の役員または従業員となつた者について、本来ならば旧会社から退職金を支給すべきであるが、右のように新会社の役員または従業員となつたことによつて前後継続して在職しているのと同じにみうることにかんがみ、特にその者に対する旧会社からの退職金の支給を禁ずるとともにその代り新会社における退職金の計算に当たつては旧会社における在職期間を新会社のそれとみなして通算しようとする趣旨のものにすぎないと解される(同様の例は、国家公務員等退職手当法にもみられ、同法にいう職員の退職手当の算定の基礎となる勤続期間の計算に当たつて職員としての引き続いた在職期間によることを原則としつつ(同法第七条第一項)、職員が退職してもその者が退職の日またはその翌日に再び職員となつたときはその退職については退職手当を支給せずに在職期間の計算において引き続いて在職したものとみなすこととし(同法第七条第三項、第八条第二項)、また、地方公務員が機構の改廃、施設の移譲その他の事由によつて引き続いて職員となつたときにおけるその者の地方公務員としての引き続いた在職期間はこれを職員としての引き続いた在職期間に含むものとし(同法第七条第五項)、さらに、職員が機構の改廃、施設の移譲その他の事由によつて引き続いて地方公務員となり地方公共団体に就職した場合において、その者の職員としての勤続期間が当該地方公共団体の退職手当に関する規定によりその者の当該地方公共団体における地方公務員としての勤続期間に通算されることに定められているときは、同法による退職手当を支給しない(同法第一三条)こととしている。)から、整備法第三四条の三の規定をもつて関配および日発から被告への従業員の引継ぎが一般的にいつて新規採用によるものであることを裏書きするものであるということはできない。
(五) 原告らは、さらに、請求の原因四において、仮に被告が関配あるいは日発から原告らとの雇用契約上の雇用主たる地位を承継したのではないとしても、被告設立の根拠法規の全趣旨および右両社の企業再編成計画書の定めにより、被告は関配および日発が特別の意思表示により留保した者を除きその余の全従業員を新規採用することを義務づけられていた旨主張する。しかしながら、前述のように、被告設立の根拠法規の全趣旨ならびに関配および日発の各企業再編成計画書の定めによれば、被告は関配および日発から右両社が引継ぎの対象として意思表示をした従業員についてのみその雇用契約上の雇用主たる地位を承継すべきものとしているのであつて、被告が特別の意思表示により留保された者を除き原告らを含む右両社の従業員をすべて新規採用すべきことを義務づけられていたとすることはできない。したがつて、いずれにしても、原告らの右主張は採用できない。
(六) そして、他に原告らが被告の従業員たる地位を取得するに至つたものと認めるに足りる主張ないし立証は存しない。
三、よつて、原告らの本訴請求は、その余の点について判断するまでもなく、すべて理由のないことが明らかであるから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担については民事訴訟法、八九条、第九三条第一項本文を適用して、主文のとおり判決する。(沖野威 小笠原昭夫 石井健吾)