大判例

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東京地方裁判所 昭和35年(ワ)9238号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔争点〕本件(一)の土地の一部である(二)の土地は、(三)の建物の敷地で、(一)の土地及び(三)の建物は共にもと被告山本の所有であつたが、原告は(一)の土地につき、被告山本に対する貸金債権の代物弁済としてその所有権を取得し、昭和三三年一一月二七日その旨の登記を終えた。一方、右(三)の建物については、豊島税務署長が被告山本に対する国税滞納処分を行い、昭和三三年二月一〇日差押登記がなされ、次いで公売に付せられて、被告尹が昭和三四年七月三一日売却決定を得て、同年八月三日所有権取得登記を経た。原告は、被告尹に対し、所有権に基いて(三)の建物を収去して(二)の土地を明け渡すことを求めたが、被告尹は抗弁として(二)の土地について法定地上権あることを主張し、かつ反訴により右法定地上権を有することの確認を求めた。

判決は、右法定地上権の成否につき、次のような事実を認定したうえ、その成立を肯定した。

〔判決理由〕……によれば、(一)の土地及び(三)の建物は、昭和二九年九月一四日以降被告山本が所有していたものなるところ、被告山本は、(三)の建物につき、訴外株式会社東京相互銀行のために、昭和三一年七月一一日、同訴外銀行との間の継続的取引(相互掛金、手形割引、消費貸借、当座貸越契約)に基く債務の担保のため極度額二三万円の根抵当権を設定し、同月一三日その旨の登記を了し、昭和三二年一二月六日同訴外銀行との間の同様の継続的取引に基く債務の担保のため極度額二〇万円の根底当権を設定し、同月九日その旨の登記を了した。一方(二)の土地につき、被告山本は、訴外松田豊のために昭和三二年一〇月九日同訴外人に対する貸金債務の担保として抵当権を設定し、同月一五日その旨の登記を了した。そして被告山本は、訴外株式会社東京相互銀行との間の前記昭和三一年七月一一日付継続的取引契約若しくは昭和三二年一二月六日付取引契約に基いて現実に債務を負担し、その履行を怠つたため、同訴外銀行は、何れかの根抵当権の実行として(三)の建物につき競売法による競売の申立をなし、昭和三四年五月二二日東京地方裁判所の競売開始決定がなされ、同月二九日その旨の登記がなされたが、前記争いのない事実のとおり被告尹が国税滞納処分による公売により、(三)の建物の所有権を取得してその旨の登記がなされたため、右競売申立の登記は抹消されたことを認めることができ、これに反する証拠はない。

右争いのない事実及び認定事実に基いて、まず、法定地上権の成否について考えるに、仮に、訴外株式会社東京相互銀行の競売の申立によつて競売が行われ、原告以外の何人かが(三)の建物を競落したとすれば、その者は、それによつて(三)の建物の利用に必要な範囲において(二)の土地につき原告に対し法定地上権を有するに至つたことは自明のことである。ところで、被告尹は、国税滞納処分による公売によつて(三)の建物の所有権を取得したのであるから、これによつて法定地上権が発生するか否かは、議論の余地がないわけではない。しかしながら、本件においては、前記のように訴外銀行の任意競売が行われれば、当然法定地上権が成立する要件が完備していたのであるから、公売によつて所有権を取得した被告尹は、これによつて(三)の建物の利用に必要な範囲において(二)の土地につき法定地上権を取得したと解するのが相当である。(西山要)

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