大判例

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東京地方裁判所 昭和37年(ワ)10189号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決要旨〕借地上の建物増築禁止の特約は、借地法第一一条が正面からかような特約の効力を否定しておらず、契約自由の原則の範囲内で一般的には有効と解すべきである。

〔事実と争点〕本件土地賃貸借契約については、賃貸借期間経過後に建物が存すべき建物の増築、改築、大修繕をしないこと、これに反したときは原告は催告なく賃貸借契約を解除することができる旨の特約があつた。そして被告が昭和三七年八月旧建物(一〇坪)を移転したうえこれを一部取こわし、そのあとに残存建物と接着して建坪六坪、二階六坪の木造モルタル塗瓦葺二階建住居兼店舗を新築したので、原告は同年九月八日右特約違反を理由に賃借契約を解除し、被告に対し建物収去土地明渡を求めたが、被告は右特約は借地法第一一条に照らし無効であると争つた。

判決は、右特約を有効とし、その理由を次のように説明している。

〔判決理由〕そこで前記特約の効力について検討するに、(但し大修繕禁止の点については本件と関係がないから判断の対象としない)借地法第一一条は正面からかような特約の効果を否定していないのみならず、借地人の自由な増改築は将来期間満了による借地権消滅の場合賃貸人が建物の買取につき多額の支出を余儀なくされるか、契約更新を余儀なくされるかの不利益を蒙るのであるから、前記特約(殊に本件においては当初の賃貸借契約期間満了後にも残存すべき建物の増改築禁止の特約である)を締結することは、契約自由の原則の範囲内で一般的には有効と解すべきである。これと反対の見解の中には借地法第七条が建物滅失の場合借地人は賃貸人の意向いかんに拘らず建物を新築でき、賃貸人はこの新築を禁止できないことをその根拠の一つとするが、この場合の建物の滅失とは一般に災害等の不可抗力若くは借地人の意思によらないものを指称し、借地人の意思によつて滅失させた場合(増改築の場合は通常既存建物の一部または全部を滅失させる)を含まないと解すべきである。何故なら増改築禁止の特約の存する以上それは借地人の賃貸人に対する背信行為というべきであるからである。但し、右のような特約違反を理由とする解除権の行使が適正な権利の行使といえるか否かは別個の問題で、それは本件については後に判断する。(定塚孝司)

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