大判例

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東京地方裁判所 昭和37年(ワ)5479号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔事実と判断〕原告は二通で合計金五五〇万円の約束手形の所持人として振出人たる被告らにたいし手形金の支払いを求めた。被告らは抗弁として原告は本件手形振出の原因たる売掛代金債権を被保全権利として東京地方裁判所にたいし被告小林所有の不動産の仮差押命令を申請し、同裁判所の昭和三七年三月一九日付仮差押命令に基いて仮差押の執行をなし、さらに同年九月七日同被告にたいし右売買代金債務につき作成された公正証書に基き有体動産の執行をした。このように原告はすでに本件約束手形の原因債権を行使し、その履行を求めているのであるから、重ねて本件各手形債権の履行を求めることはできないと主張した。

判決は本件手形はその原因たる債権の支払のために振出されたものであるから、原因関係に基く強制執行等により弁済がなされないかぎり、手形債権の行使は許さるべきもので、訴の利益を欠くものといえないとして被告らの抗弁を排斥し、つぎのとおり述べている。曰く。

「一般に約束手形上の債権とその手形行為の原因となつたいわゆる原因債権とは、その原因債権の支払いに代えて手形行為がなされたものでないかぎり併存するものであり、本件においては、原因債権である売買代金債権とその支払いのために振出された本件手形金債権とは併存しており、右売買代金債権を被保全請求権として仮差押命令の申請がなされ、同命令の執行がなされたとしても、また、右売買代金債務の支払いについて作成された公正証書に基づき強制執行がなされたとしても右執行において換価、売得金の領収または配当がなされないかぎり、手形金債権にはいささかの影響もないものというべきことは論をまたない。原因債権についてすでに執行受諾約款付公正証書が作成されている場合でも当該債権または約束手形金債権の支払いを求めて訴を提起することは、許容されるべきであり、訴の利益を欠いて違法であるということはできない、従つて、この点についての同被告の右主張はそれ自体理由がないものというべきであり、採用することができないものといわなければならない。以上のとおりであるから、被告小林の主張する各抗弁は、いずれもその理由がない」。(逢坂修造)

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