東京地方裁判所 昭和37年(ワ)7836号・昭37年(ワ)5183号 判決
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〔事実と判断〕原告は東京穀物商品取引所所属の商品仲買人であるが、被告から前後八回に亘り指値で先物取引の委託をうけて東京穀物商品取引所における小豆等の建玉し、手仕舞の結果、六五万円の仕切損金と五万円の益金とを生じた。
しかるに被告の供託した委託証拠金は二八万円に止つて第四回目以下の建玉については証拠金の提供がないため、差引計算による被告の損金は四三万五、五〇〇円となつたので、原告は被告の指金を取引所を通じ自動的に取引の相手方に支払決済して被告のため立替支払つたので、みぎ立替金の支払いを求めた。
被告は(一)証拠金を徴しない委託契約は強行法規違反で無効であり、(二)また仲買人の損金立替支払いは法の規定を欠くから無効であると抗弁した。
判決は被告のみぎ(一)(二)の抗弁を排斥しつぎのとおり説明している。曰く。
「被告(反訴原告)は、商品仲買人は受託契約準則の定めるところにより商品市場における売買取引の受託について委託者から委託証拠金を徴しなければならない旨の商品取引所法第九七条第一項の定めは強行法規であつて、証拠金を徴しない受託は無効であると主張するが、同法中の罰則規定にも右条項違反は含まれておらぬ点に鑑みても、未徴のままで受託したからといつて、特段の事情のない限り当然受託を無効ならしめるものとは解されない。そして前認定の事実によつてみれば、いずれの建玉についても受託を無効ならしめる事情は認められない。
また、被告(反訴原告)は、商品仲買人の損金立替えは法の規定を欠き法律上の理由のない無効のものであると主張するが、商品取引所法第九六条、受託契約準則第二〇条、第二八条の規定により、受託による建玉処分により生じた損失金および委託者が当月限の委託玉につき受渡の意思を表示しないときの商品仲買人の委託玉処分によつて商品仲買人の受けた損失は、すべて委託者の負担と定められているのであり、商品仲買人は、これらの規定によつて生じた委託者負担の損失金支払について自己の名をもつて委託者のために、業務規程の定めるところにより取引所を経て決済(決済事務は取引所自ら行う)するものである(商品取引所法第八〇条)。右決済の結果、商品仲買人は委託者のために右損失金を立替え支払つたことになる筋合である。
被告(反訴原告)の主張は、謂われのない主張といわねばならぬ。」(立岡安正)