東京地方裁判所 昭和37年(ワ)8590号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔事実と判断〕原告は訴外第一証券投資株式会社に対し昭和三六年一二月二五日割引電話債権B号第八回額面三〇万円一枚を、昭和三七年一月五日金二〇万円をそれぞれ交付して原告のため買付委託したが、同社は株式の購入をしないので、原告は訴外会社にたいし、同年九月一〇日到達の書面で株式買付の委任を解除し、書面到達の日から三日以内に右電話債券等の返還を請求したが、これを返還しない。同社は証券業者でないから証券業を営むことができず、前記寄託行為は証券取引法第二〇五条第一号及び同法第一九八条第三号に違反する行為で、右会社の目的の範囲外の行為というべきであるが、右会社の代表取締役高倉が右会社の職務行為としてなした場合であつても、同被告はその職務を行うにつき原告の権利を侵害して損害を与えたものであるから、個人としても不法行為責任は免かれないと主張した。
判決は原告の主張をそのまゝ採用しつぎのとおり説明している。曰く。
「ところで、証券業者でないものが株式売買の媒介等いわゆる証券業を営むことは、証券取引法第一九八条第三号に違反する違法行為で前記会社の目的の範囲外の行為であるけれども、被告高倉が右会社の代表者として、外形上その職務行為として被用者岡本茂を通じて右行為をなしたものであつても、それ自体すでに違法の行為であるので、被告高倉は個人としても右不法行為に因つて生じた原告の損害を賠償すべき責任を免れない」。
(土田勇)