東京地方裁判所 昭和37年(ワ)9614号 判決
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〔判決要旨〕借地上に数個独立の建物が存在し各建物敷地が分離独立して敷地としての利用関係が維持されているときは、特別の事情がないかぎり、借地権消滅原因としての朽廃は各建物ごとに考察し、当該朽廃建物の敷地範囲について部分的に借地権が消滅すると解するのが相当である。
〔判決理由〕およそ一個の賃貸借契約にもとずいて設定された借地権と雖も、その借地上に数個の建物が存在し、それらがいずれも社会的経済的に別個独立の建物として効用を果たし、それら各建物の敷地も、いずれもそれぞれ分離独立して敷地としての利用関係が維持されているような場合には、格別の事情がない限り、建物朽廃による借地権消滅原因を判断するにあたつては、各建物毎にこれを考察し、当該建物が借地権消滅原因たる朽廃にあたるときは、たとえ同一借地上の他の建物が朽廃していないときであつても、当該朽廃建物の用に供されている敷地範囲については、部分的に借地権が消滅するものと解するのを相当とする。けだしかように解しないならば、一個の借地契約にもとずき、広大な借地を得てこれにそれぞれ相当の期間をおいて順次に別個独立の建物を新築するときは、たとえ当初築造にかかる建物が朽廃に陥つても、後に築造された建物は依然朽廃の域には達せず、借地権が全体として存続することとなり、朽廃建物の改変を順次繰返すときは借地権は求久に消滅しないこととなり、建物朽廃を借地権消滅原因とした法の趣旨も没却されるに至るからである。(滝田薫)