東京地方裁判所 昭和37年(合わ)173号 判決 1962年8月17日
主文
被告人田村宏を懲役二年に、被告人乙野二郎(仮名)を懲役一年以上三年以下に各処する。
押収してある軽便かみそり一丁(昭和三七年押第一一五八号の一)を被告人両名から没収する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人両名は共謀のうえ、昭和三七年五月一八日午前四時一五分ごろ、東京都北区東十条二丁目一二番地先路上において、同所附近の日本シング株式会社工場の火災に際し消防署員等が東京消防庁赤羽消防署稲付出張所々属第一三四一号消防車に接続して消火作業に使用中のゴム内張りホースのうち、車から一三番目および一五番目のホースをそれぞれ一箇所所携の軽便かみそり(昭和三七年押第一一五八号の一)を用いて切損(一三本目は長さ一、五センチメートル、一五本目は長さ二センチメートル)し、同所から漏水させて送水圧力を低下せしめ以て鎮火の妨害をなしたものであるが、被告人乙野は少年法に定める少年である。
(証拠の標目)≪省略≫
(法令の適用)
被告人の判示所為はいずれも刑法六〇条一一四条に該当するので、所定刑期の範囲内で被告人田村宏を懲役二年に処し、被告人乙野二郎は少年であるので少年法五二条一項本文二項を適用して定期刑にかえて不定期刑を科することとし、所定刑期の範囲内で同被告人を懲役一年以上三年以下に処し、押収してある軽便かみそり一丁(昭和三七年押第一一五八号の一)は本件犯罪行為に供したものであつて被告人田村宏以外のものに属さないから刑法一九条一項二号二項によつて同被告人及びその共犯者である被告人乙野二郎からこれを没収し、訴訟費用(国選弁護人平野卯三郎に支給したもの)は刑事訴訟法一八一条一項但書を適用してこれを被告人田村宏に負担させないこととする。
よつて主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 飯田一郎 裁判官 大関隆夫 安部晴彦)