大判例

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東京地方裁判所 昭和38年(ヨ)2128号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕一申請人が昭和三三年一一月二四日被申請会社に臨時工として雇われたこと及び右雇傭契約は同三四年五月一日以降期間を六ケ月と定め、その期間満了毎に更新を重ねて同三六年一〇月一〇日に至つたことはいずれも当事者間に争いがない。

二そして、<証拠によれば>申請人は季節的臨時的作業に属しない単純作業に従事する臨時工であつたこと、被申請会社ではこの種臨時工の雇傭契約期間を通常六ケ月とし、期間満了毎に更新することとしているが(この点は当事者間に争いがない。)昭和三四年六月以降は、右更新の都度必ず疎乙第二号証のような「会社が雇傭期間満了後もなお引続き雇傭の必要を認めるときには、右満了前あらかじめ継続の意思表示をしてこれを更新できると共に、業務の都合によつては期間満了前といえども、解除できる。」旨の条項が不動文字で記載してある一定様式の用紙を用いて契約書を作成していたこと、しかし、右記載に拘らず実際上は、雇傭期間満了前被申請会社から継続の意思表示がなくても、臨時工らは更新を予期してあえて被申請会社にその意思の有無を確かめるようなことはせず、期間満了後も引続き勤務を続ける一方被申請会社もまた何らこれを異としないで黙認し、その後に至つて前記のような契約書の調印作成を行うことがむしろ常態であつたことがそれぞれ疎明される。<中略>

これらの諸事実から推せば、被申請会社のこの程臨時工は、その名称の如何に拘らず、実質上一種の常傭工であつて、たとえ契約書に前記のような不動文字による記載があつても、雇傭期間満了前に当事者のいずれかから更新拒絶等特段の意思表示をしないかぎり、右期間満了と共に当然前記期間その他の労働条件のもとに自動的に雇傭契約が更新することにつき暗黙の了解があるものと認むべく、本件臨時工契約もこの例に洩れないものと解するのが相当である。

三然るに、前記昭和三六年一〇月三〇日期間満了後更新した新契約の期間が被申請会社の申入れにより五ケ月に短縮されたことは当事者間に争いのないところであるから、進んで、右五ケ月の期間満了前被申請会社から更新拒絶があつたか否かを検討するに、前記昭和三六年一〇月三〇日期間満了後更新した新契約についての契約書に被申請会社は当初二ケ月の契約期間を記入していたが、申請人からその頃理由を問われたので、「申請人の従事していた紙器見本作りの作業は、昭和三七年四月末日限り外注に切替える予定である。」と答え、その後昭和三六年一一月二〇日頃に至り、期間二ケ月と記入された前記契約書を破棄し、改めて期間五ケ月と記入した新契約書を同年一一月一日付で作成したこと及び右作成にあたり申請人に対し、同人との間の臨時工契約は右五ケ月の期間が満了すればもはや更新を欲しない旨更新拒絶の意思表示をしたことがそれぞれ疎明される。<中略>

四よつて、更に進んで、前示更新拒絶の意思表示の効力につき考えるに右意思表示は、前示のように契約の自動更新により一種の常傭工化している臨時工の雇傭関係を終了させる効力を有するものであるから、実質的には解雇と何ら異らず、従つて、若しそれが当該臨時工の政治的信条のみを理由とするとき或は不当労働行為にあたるときは、解雇の場合と同様、労働基準法三条、労働組合法七条の各規定から窺い得る公の秩序に反する点において無効であつて、雇傭関係を終了させる効果を生じないものと解すべきである。(川添利起 園部秀信 西村四郎)

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