東京地方裁判所 昭和38年(ヨ)673号・昭38年(ヨ)3002号 判決
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〔事実と判断〕債権者は債務者島本および申諸外磯辺富正の共有にかかる本件建物を昭和三八年一月二一日他の物件とあわせて代金五、六五〇、〇〇〇円で買い受けたが、債務者島本および債務者株式会社文化建設社がそれぞれ本件建物中の一部を占有使用して、これを明け渡さない。そこで債権者は、現に居住する賃借建物は賃貸人に明渡を迫られて明渡しを約してあり、本件建物の改築修理については着手金一〇〇、〇〇〇円を支払つて工事請負契約を結んであることその他の事由を挙げて、本件建物につき、債務者らの各占有解除、執行吏保管、債権者の使用許可なる明渡断行の仮処分を申請した。債務者島本は、本件建物売買契約は債権者が約定の昭和三八年二月一〇日売買残代金一〇〇万円を支払わなかつたから、無催告解除の特約に基く解除の意思表示により解除されたと主張したほか、右残代金一〇〇万円と本件建物明渡義務とは同時履行の関係にあるから、債権者がその支払義務を履行するまで明渡しを拒むことができる旨抗争した。
判決は、右同時履行の抗弁の主張を次のように説いて斥けた。曰く、
「また、前示一、〇〇〇、〇〇〇円の支払義務と本件建物の明渡義務が同時履行の関係だから、その支払あるまで明渡を拒みうるという債務者等の主張は、仮処分の段階で明渡断行の必要を認めて仮に明渡を命ずる場合は、仮の地位を定めるにすぎない仮処分命令の性質からいつて、さらに同時履行の抗弁権を認める要はないものと解すべきであるから、この点の債務者等の主張は採用できない。」