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東京地方裁判所 昭和38年(ワ)1369号 判決

判   決

第一、当事者

東京都豊島区要町二丁目一二番地

原告

浅原栄二郎(ほか三名)

原告等訴訟代理人弁護士

永野謙丸

伊藤庄治

同都豊島区要町三丁目二八番地

被告

アストロ光学株式会社

右代表者代表取締役

大沢国男

右訴訟代理人弁護士

林勝彦

第二 主   文

一、被告会社の昭和三七年一一月二六日付臨時株主総会においてなされた決議のうち、藤本林平及び立川静夫を監査役に選任する旨の決議を取消す。

二、原告その余の請求を棄却する。

三、訴訟費用は原告と被告の平等負担とする。

第三、事   実

(一)  原告等の陳述の要旨

(1)  請求の趣旨

被告会社の昭和三七年一一月二六日付臨時株主総会においてなされた大沢国男、森田堅固存び西徳治を取締役に、藤本林平及び立川静夫を監査役に選任する旨の決議を取消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

(2)  請求の原因

(イ)  原告等はいずれも被告会社の株主である。

(ロ)  被告会社の昭和三七年一一月二六日開催にかかる臨時株主総会において請求の趣旨記載の決議が成立した。

(ハ)  右決議事頃は右総会のため発せられた招集通知書に会議の目的たる事項として記載されていない。

(3)  被告の主張事実に対する認否

被告主張事実中、本件決議が被告会社の解散後、会社継続の決議に次いで行われたものであること、招集通知書に被告主張の如き記載があることは認めるが、その余は否認する。

(二)  被告の陳述の要旨

(1)  請求の趣旨に対し……請求棄却

(2)  請求の原因に対し

請求原因事実はすべて認める。

(3)  被告の主張

本件決議は、被告会社の解散登記後、会社継続の決議その他の決議とともになされたものである。しこうして招集通知書になるほど、役員の選任を明示的には記載していないけれども、議案として「当会社を解散前の状態に回復し企業活動再開に関する件」との記載がある。本件決議の内容は当然に右の議案の記載内容中に含まれていると解すべきである。

第四、理   由

本件決議が被告会社解散後会社継続を議案とする株主総会において、右会社継続の議案可決後に採択可決されたものであること並に、右株主総会の招集通知書に議案として「当会社を解散前の状態に回復し、企業活動再開に関する件」が記載されていることは当事者間に争がない。そこで、右記載のなかに本件役員選任決議が解釈上包含されているものとなすべきか否かにつき考える。

およそ、解散登記後株主総会が会社継続の決議をするときは、会社は総取締役及び総監査役の申請により本店の所在地においては二週間以内に、支店の所在地においては三週間以内に会社継続の登記をしなければならないことは法の明定するところである。(商法四一六、九七、非訟一九五)。しこうして、会社継続の決議により会社は再び営業能力を回復するとともに清算人の職務は終了するので、(参照、商登六八、五六Ⅰ)取締役は新たに選任されなければならず、その新たに選任せられた取締役が従前の又は新任の監査役と共に上記会社継続の登記をすべきことになる。こうして、新取締役の選任は必らずしも、会社継続の決議のある総会において、なさねばならぬという法律上の根拠はないけれども、本件のように「当会社を解散前の状態に回復し、企業活動再開に関する件」という議題を掲げて、会社継続の決議をなすべきことを招集通知書をもつて予告した以上は、上記の事柄からしても、特に取締役の選任につき特段の予告(別期日を定めるとか。追而選任するとか)をしない限りは、通常の株主においては、右招集日に今後会社経営の任に当るべき取締役の選任も同時に行なわれるものと予期するであろうことが合理的に忖度せられるので、右特段の予告をしなかつた本件の場合には少くともこと取締役の選任については、右議題の文言中に包含されているものと解するのを至当とする。しかしながら、監査役は会社が解散しても、解散前の監査役としての職務権限を失うことなく、その欠員の場合においても、商法第二五八条第一項の規定が準用されるので、(商法二八〇)、会社継続の決議があつても、法律上は新監査役の選任が一般的に必要となるわけではない。したがつて、具体的場合において、仮りに事実上新監査役の選任が必要であるとしても、予め招集通知書に監査役選任を議題とする旨を附記することなく、単に本件のように前記文言による議題を告知したのみでは、通常の株主としては当日監査役の選任も行なわれるものと合理的に解釈することは困難であり、結局被告主張の議題のなかには、監査役の選任は包含されていないものと解するのほかはない。よつて、本訴請求中、監査役選任決議の取消を求める部分を認容し、その余の部分を棄却し、訴訟費用の負担につき民訴第九二条を適用し、主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第八部

裁判長裁判官 伊 東 秀 郎

裁判官 八木下   巽

裁判官 宍 戸 達 徳

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