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東京地方裁判所 昭和38年(ワ)397号 判決 1965年5月21日

主文

原告らが別紙物件目録記載の各不動産につき各自四分の一の持分権を有することを確認する。

原告らの本件訴のうち右各不動産の分割請求に関する部分を却下する。

原告その余の請求を棄却する。

反訴原告(被告)らの確認の訴を却下する。

反訴原告(被告)らのその余の請求を棄却する。

訴訟費用のうち本訴につき生じた分はこれを二分し、その一は原告らの、その余は被告らの各負担とし、反訴につき生じた分は反訴原告(被告)らの負担とする。

事実

原告(反訴被告。以下単に原告と称する。)ら訴訟代理人。 被告(反訴原告。以下単に被告と称する。)ら訴訟代理人。

第一、求める裁判。 第一、求める裁判。

本訴につき。   本訴につき。

一、被告らは各自原告らに対し夫々別紙物件目録記載の不動産(以下本件不動産と称する。)につき各八分の一の持分権の移転登記手続をせよ。 一、原告森宮の訴を却下する。 原告佐藤の請求を棄却する。 仮に原告森宮の訴が適法であると認められるならば原告森宮の請求を棄却する。

訴訟費用は被告らの負担とする。 訴訟費用は原告らの負担とする。

二、仮に右請求が認容されないときは以下順次予備的に左のとおり請求する。

(一)  被告らは原告森宮に対し、本件不動産につき各自一二分の一の持分権の移転登記手続をせよ。 本件不動産を競売に付しその売得金を原告佐藤一二分の三、原告森宮一二分の五被告ら各自一二分の二の割合に分割せよ。

(二)  原告らが本件不動産につき各自四分の一の持分権を有することを確認する。 本件不動産を競売に付しその売得金を原告ら各四分の一、被告ら合計四分の二に分割せよ。

反訴につき。 反訴につき。

被告らの反訴をいずれも却下する。 仮に反訴が適法であると認められるならば、被告らの反訴 原告らは、本件不動産につき東京法務局昭和三八年二月二〇日受付第二三一二号を以て原告らのためなされた各持分

請求をいずれも棄却する。 権四分の一の移転登記の抹消登記手続をせよ。

訴訟費用は被告らの負担とする。 東京法務局所属公証人佐藤佐一郎昭和三七年一〇月五日作成昭和三七年第二一二七号遺言公正証書による訴外森宮茂吉の遺言は無効であることを確認する。 訴訟費用は原告らの負担とする。

第二、事実上の主張 第二、事実上の主張

(下記に対する答弁)   (本案前の抗弁)

原告森宮が心神喪失であつたとの主張、及び無権代理行為の主張は否認する。原告森宮は本件訴訟委任の際意思能力に欠陥はなかつたものであり、従つて本件訴は適法である。 原告森宮は本件訴提起につき昭和三八年五月一五日弁護士西村史郎に訴訟委任したが、当時同原告は心神喪失の状況にあつたものであるから右訴訟委任は無効であり、従つて西村史郎の原告森宮訴訟代理人として提起した訴訟は無権代理行為であり訴却下を免れない。

(本訴請求原因。)

一、本件不動産は訴外亡森宮茂吉(被告森宮満起はその妻、原告森宮、被告森宮隆はその嫡出子)の所有であつた。 一、認める。

二、亡茂吉は昭和三七年一〇月五日東京法務局所属公証人佐藤佐一郎に対し証人佐藤進、同猪瀬文雄立会のうえ、本件不動産を原告両名及び被告両名に均等の割合で遺贈する、との遺言を口授し、同公証人はこれを筆記して昭和三七年第二一二七号遺言公正証書を作成し、遺言者及び証人に読聞かせてその署名捺印を受けたうえ自らこれに署名捺印した。 二、遺言公正証書が作成されたことは認めるが、亡茂吉が公証人に遺言を口授し、公証人がこれを筆記したことは否認する。

三、仮に右遺言が無効であるとしても、亡茂吉は右同日原告佐藤に対し本件不動産の持分権四分の一を茂吉の死亡を停止条件として死因贈与した。 三、不知

四、右亡茂吉は昭和三八年二月一一日死亡した。 よつて原告ら及び被告らは右遺贈により本件不動産の持分権各四分の一を取得した。 仮に遺言の効力が認められないとしても、原告は前記死因贈与契約により本件不動産持分権四分の一を、原告森宮及び被告らはいずれも相続により各持分権四分の一を取得した。 四、死亡の点は認めるが、原告佐藤の権利取得は争う。

五、よつて原告佐藤は保存行為として本件不動産につき原告ら及び被告らのため東京法務局昭和三八年二月二〇日受付第二三一二号を以て持分権各四分の一の移転登記手続をなした。 五、登記の存する点は認めるが原告佐藤は無権利者であるからそのなした登記手続は無効である。

六、しかるに被告らは昭和三八年三月一五日付書面を以て原告らに対し持分権放棄の意思表示をなし、右書面はその頃 六、否認

原告らに到達した。 よつて原告らは夫々被告らの持分権各四分の一の各二分の一宛てを取得した。

仮に右書面により被告らは遺贈を放棄したものであるならばその放棄分合計二分の一の持分権を原告森宮と被告らで共同相続することとなり従つて原告森宮は被告らから各一二分の一の持分権を取得したものである。 否認

七、よつて持分権に基づき移転登記手続を求める。又、被告らは原告らの権利を争うから持分権の確認を求め、又共有は維持しがたいからその分割を求める。

(答弁)   (抗弁)

原告佐藤が立会つていた点は認め、他は否認する。 仮に右公正証書作成の際遺言者亡茂吉の口授があつたとしても、同人は当時意思能力を欠いていたものであり、その遺言内容は遺留分を侵害するものである。かつ受遺者たる原告佐藤が立会つていた。従つて右公正証書による遺言は無効である。

(反訴請求原因)

争う。 前記公正証書遺言は前記理由により無効であるからその確認を求める。

又原告佐藤は無権利者であるのにその主張の様な登記手続をなしたからその登記は無効であり、よつて原告らに対しその各四分の一の持分権移転登記の抹消登記手続を求める。

第三、立証(省略)

(別紙)

物件目録

東京都中央区日本橋人形町一丁目六番五

一、宅地二五坪五合二勺

同所一丁目六番地三

家屋番号同町六三番

一、鉄筋コンクリート造陸屋根二階建店舗

一階 二一坪四合八勺

二階 右同

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