東京地方裁判所 昭和39年(ワ)11253号・昭40年(ワ)910号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕ところで「登記申請行為は国家機関たる登記所を相手方としてなす一種の公法上の行為であつて、単純な私法上の法律行為ではないから、これに対し民法の表見代理に関する規定の適用ないし準用はない。」とする学説、判例もあるが、登記申請行為中登記義務者の登記権利者に対する協力関係は少くとも私法関係であるから、この関係については民法の表見代理の成立を肯定し得べく、その限りにおいて表見代理の責任を負うものは、登記所に対する関係においても自ら申請行為に加功したと同様の責任を負うべきものと解するのを相当とする。(最高裁昭和三四年(オ)第四一五号、昭和三七・五・二四判決参照)
そこで本件売買予約に基く所有権移転請求権保全仮登記についてこれをみるに、前掲甲第六号証の三によれば、右仮登記申請手続は原、被告の共同申請を以てなされたものであるところ、被告側は実際には前記訴外人が被告を代理(無権代理)してなしたものであるが、さきに認定した本件消費貸借契的締結に至るまでの一連の経過事実に徴すれば、前記売買予約の締結及びこれに伴うその仮登記申請手続についても、右訴外人の行為につき民法第一一〇条の表見代理が成立すると解するのを相当とするから、右仮登記は有効というべきである。(古山宏)