東京地方裁判所 昭和39年(ワ)11898号・昭38年(ワ)4956号 判決
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〔判決理由〕ところで失火の責任に関する法律但書に規定する「重大な過失」とは、通常人に要求される程度の相当な注意をしないでもわずかな注意さえすればたやすく違法有害な結果を予見することができる場合であるのに漫然とこれを見過したような、殆んど故意に近い著るしい注意欠如の状態を指すものと解されるところ、前記認定事実からすると、被告出口一及び同出口艶子が桟がなくなつて襖が外れやすくなつていたのに適切な修理をしなかつたこと、焼燃中の石油ストーブを襖の近くに置いた点等については火災の発生を未然に防止しなければならない注意義務を怠つた過失はあるが、震災前の古い建物で且つ当時の建物使用状態(<証拠>によれば右建物は一、二階とも一六坪で一階は作業場炊事場に、二階は四部屋が作業場兼家族四名及び十数名の住込従業員の居間として使用されていた)を考えると、今日の住宅事情からみてこれは一般的にやむを得ない状態であつて、被告出口一、同出口艶に重大な過失があつたということはできない。(定塚孝司)