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東京地方裁判所 昭和39年(ワ)12591号 判決 1965年3月03日

原告 有限会社板橋酸素商会

右代表者代表取締役 庄子利衛

右訴訟代理人弁護士 糸賀昭

被告 東和工業株式会社

右代表者代表取締役 浅利ゆき

主文

被告は原告に対し、別紙目録記載の物件を引渡せ。右引渡不能のときは、被告は原告に対し、金三一六、五〇〇円を支払え。

原告その余の請求を棄却する。

訴訟費用は被告の負担とする。

この判決は、原告勝訴の部分に限り、仮に執行できる。

事実

原告訴訟代理人は、主文第一、第四項同旨のほか「物件引渡不能のときは、被告は原告に対し、金三一六、五〇〇円とこれに対する昭和四〇年一月一一日より支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。」との判決と仮執行の宣言を求め、その請求の原因として次のとおり述べた。

「一 原告は被告に対し、昭和三八年八月一一日より同三九年八月二二日までの間に、別紙目録記載の物件に満たした酸素およびアセチレンを売渡すに当って、右物件を、酸素およびアセチレンを消費次第直ちに返還する約で貸渡した。

二 そこで原告は被告に対し、右物件の引渡を求めるため、本訴請求に及んだ。

三 なお、右引渡執行不能のときは、引渡に換えて、その損害の賠償として、本件口頭弁論終結のときの時価である合計三一六、五〇〇円(酸素容器一本一三、五〇〇円、アセチレン容器一本一六、五〇〇円の割合)とこれに対する本件訴状の被告に送達せられた日の翌日である昭和四〇年一月一一日より支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。」

被告は、適式の呼出を受けながら、本件口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他なんらの準備書面も提出しない。

理由

原告主張の事実は、民事訴訟法第一四〇条により、被告において自白したものとみなす。そうして、右事実によれば、原告の本訴請求のうち、遅延損害金を求める部分を除く部分は正当であって、これを認容すべきものとする。

しかし、右物件引渡の執行不能のときの時価相当損害金債務については、弁済期の定めのない債務と解すべきであるから、その損害発生の後、催告をまって遅滞におちいるものであって、右損害額についての遅延損害金の請求は、失当としてこれを棄却すべきものとする。

よって、民事訴訟法第八九条、第九二条、第一九六条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 田中良二)

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