大判例

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東京地方裁判所 昭和39年(ワ)2502号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔争点〕原告は昭和三七年一月三〇日午後零時一〇分ごろ、東京都板橋区小豆沢一丁目一四番地先中仙道路上を自転車で通行中、訴外太田毅運転の被告会社所有の小型四輪自動車と接触し、路上に転倒せしめられ、顔面その他に打撲傷を蒙つたので、自賠法第三条に基き、被告にたいし慰藉料、治療費等合計二一五、六六〇円の損害賠償を求めた。

被告は本件事故は原告の一方的な過失によつて生じたもので、訴外太田および被告は被告車の運行に関しなんら注意を怠らず、またもとより被告車には構造上の欠陥や機能の障害はなかつたと抗争し、その責任を否定した。

判決は本件事故の事実関係をつぎのとおり認定し、被告に損害賠償責任がないと判示し、つぎのとおり述べている。

〔判決要旨〕そこで被告の抗弁について判断するに、成立に争いない乙第一号証および証人太田毅、同岩田昭二の各証言を綜合すると本件事故現場は中仙道と小豆沢四丁目方面への道路の交差点入口であつて、同所にいたるまで被告車に次いでタクシーが、さらに同車に次いで証人岩田運転の自動車が追尾していたが、交差点入口手前でタクシーが被告車を追い越したため前記岩田の自動車が被告車と直ちと追従することとなつたこと、岩田の自動車が交差点入口前約一〇米の地点にさしかかつたとき後方より進行して来た原告操縦の自転車が同車の左側を追い抜いて前進して行つたこと、被告車が同交差点入口中仙道上左側歩道より約一米の地点において一時停止し、これに追進する岩田の車との距離が四、五米になつたとき原告操縦の自転車が被告車と歩道との僅か一米の間隙をぬつて通過しようとし、その際被告車の左側前部フエンダー附近に接触し、そのため原告は自転車もろとも路上に転倒したこと、以上の事実を認めることができる。右認定に反する原告本人尋問の結果は前掲各証拠に照らしてたやすく措信できず他に上記認定を覆えすに足りる証拠はない。そして右認定によれば本件事故は停車中の被告車に、後から進行して来た原告の自転車が接触したため発生したものであつて、右太田には過失がなく、進路左右の注視を怠り、自己の操縦技術を過信した原告の過失により生じた事故であると認めざるを得ない。

また証人森谷浩の証言によると、当時被告方の専属運転手は前記太田のみで被告は毎日同人に車の整備点検を励行させ、また常常事故を起さないように注意を怠らなかつたこと、同人を運転手として採用するに際して同人が事故、法規違反歴のないことを確かめて採用したことを認めることができるから、被告は被告車の運行に関し注意を怠らなかつたということができ、さらに被告車に構造上の欠陥機能障害がなかつたことは同人の証言によつてこれを認めることができる。(鈴木潔)

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