東京地方裁判所 昭和39年(ワ)4871号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕「原告と被告○○が二回にわたつて情交関係を結んだことは当事者間に争いないが、……によれば、第一回の情交関係を結ぶ前、二人で立ち寄つたすし屋において、あるいは旅館へおもむく自動車の中で被告○○が自分の妻のことを話題としたことが認められる。してみれば原告が被告○○と情交関係を結んだ際同被告に妻のあることを知つていたことは明白である。また丙第五号証と前記原告本人尋問の終果によると原告は当時二五才で以前にも他の男性と情交関係があり、かつ妊娠中絶の経験もあることが認められる。このように、原告は妻のある男と知りながら、また情交関係の意味を知つてこれと情交関係を結び、みずから社会の倫理、道徳観念に反する行為をしたのであつて、このような原告の立場は貞操権の侵害として法律の保護に値しないというべきであるから、仮にその際被告○○が原告主張のような甘言を用いたとしても(男が妻とすでに事実上離婚状態にあり、妻と別れて結婚することを確約しているような場合は別であるがこのような事実を認めるにたりる証拠はない。これを理由として損害賠償の請求はできないものと解すべきである。(田島重徳 定塚孝司 矢崎秀一)