大判例

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東京地方裁判所 昭和39年(ワ)8326号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕原告が東京瓦期株式会社ほか二社から本件家屋二棟の焼失を理由に合計五〇〇、〇〇〇円を受領したことは当事者間に争いがない。

本件家屋二棟は右三社の過失により焼失したのであり、右金員は右の不法行為をなした右三社からその被害者たる原告に交付されたこと、およびその金額を併せ考えると、右金員が仮に原告主張のとおり見舞金として交付されたものとしても不法行為と無関係の第三者から見舞金として贈与された場合とは異なり、その実質は右不法行為に対する損害賠償とみるのが相当であるかかる場合は、すくなくとも保険者たる地位を有する被告との関係においては、本件家屋二棟の焼失による損害に対して不法行為者たる右三社が損害賠償として五〇〇、〇〇〇円を原告に交付した場合と同視することが、本件共済契約の会員のこうむつた損害の填補を目的とする右失約の機能からみて、相当であると考える。

そうである以上、仮に右五〇〇、〇〇〇円により本件家屋二棟の焼失の結果原告のこうむつた損害がすべて填補されたとすれば原告は被告に対し本件共済契約に基づき共済金を請求することはできないと解せざるをえない。ところで、本件共済契約の共済金の合計が五〇〇、〇〇〇円であるところからみれば、特段の事情の認められない本件においては、本件家屋二棟の価値は焼失当時右金員相当額であつたと推定すべきである。証言によれば、その時価は大体一、五〇〇、〇〇〇円ということになるが、右証言は単にその結論をいうのみであること、また同証人に不動産の評価について特別の学識経験のあることをうかがうことはできないこと、同証人が原告の甥でありかつての使用人であることなどを考え併せると、右証言のみでは到底前記推定をくつがえすには不十分であると考えざるをえない。他に右認定を左右するにたる証拠はない。したがつて、本件家屋二棟の焼失により原告のこうむつた損害は、前記五〇〇、〇〇〇円の受領によりすべて填補されているものとみるべく、原告の被告に対する本件共済契約に基づく共済金五〇〇、〇〇〇円の請求はその全部が理由がない。(伊藤滋夫)

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