大判例

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東京地方裁判所 昭和39年(ワ)8384号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕被告は、本件不動産売買に関与したのは、被告個人ではなく、被告が代表取締役である訴外みやな興業株式会社であるから、被告個人には責任がないと主張する。

本件別紙第一目録記載の不動産を担保に金員を借入れることに関与したのは前記認定のとおり、被告個人であつたり、或いは被告が代表取締役であるみやま興業株式会社であつたりしたため、被相続人から右代金二、五〇〇万円を借り受けた者が被告個人であるのか、みやま興業株式会社代表者としての被告であるのかは必ずしも明らかでないが、会社が全く形骸にすぎない場合、例えばいわゆる一人会社のある種の場合のごとく、会社形態がいわば単なる藁人形に過ぎず、会社即個人であり、個人即会社であつて、その実質が全く個人企業と認められるがごとき場合においては、これと取引する相手方保護の立場から、会社という法的形態の背後に存在する実体たる個人に迫る必要が生ずるのであつて、このような場合、会社名義でなされた取引であつても相手方は会社という法人格を否認して、恰も法人格のない場合と同様その取引を背後者たる個人の行為と認めて、その責任を追求することを得ると解するのが相当である(最高昭和四四、二、二七判決参照)ところ、……を総合すれば、訴外みやま興業株式会社は、資本金一五〇万円であるが、その株式の払込みもいわゆる見せ金ですませたような無資力の会社であり、その実体は被告個人が単に右訴外会社の名義を用いて個人事業を行つていたに過ぎないものであることが認められ、他に右認定を左右するに足る証拠はない。しからば、右訴外会社はすなわち被告、被告はすなわち右訴外会社であつて、右訴外会社の実質は全く被告個人の企業と認めざるをえず、被告は右訴外会社名でしたと否とに関りなく責任を負うべきものと解するのが相当であるから、被告の右主張は採用の限りでないというべきである。(中平健吉)

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