東京地方裁判所 昭和39年(行ウ)114号 判決 1964年12月21日
原告 矢谷寿雄
被告 国
主文
本訴を却下する。
訴訟費用は、原告の負担とする。
理由
原告の求める裁判とその主張は、別紙添付訴状記載のとおりであるが、その趣旨は、「君が代」は法律上日本国歌として制定されていないので、原告は自ら「あめつちの歌」を作詞、作曲して、これを国歌として制定するよう請願しているのに、被告がオリンピツク東京大会において「君が代」を日本国歌として宣言放送したのは、原告の表現の自由を犯し、その法律上の地位を否認、圧迫、不安定ならしめるものであるから、原告はこれを除去するため、「君が代」が日本国歌に制定されていないことの確認を求めるというにあるところ、「君が代」が法律上日本国歌として制定されているものであるかどうかは、個人の具体的な法律上の権利義務に係わるものでなく、その理は、原告が作詞、作曲した歌曲を国歌として制定することの請願をしていることによつて異なるものではないから、本訴は法律上の争訟に当らず、不適法である。
民事訴訟法第二〇二条、第八九条適用。
(裁判官 白石健三 浜秀和 町田顕)