大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和40年(ワ)6123号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕仮に被告会社に何らかの損害があつたとしても、そのことから直ちに株主としての原告が、持株比率に対応した損害を蒙つたと断定することはできない。けだし株主は、一般的に株式の価格に相当する利益を保有しており、株式の価格は、会社資本の充実により維持されるから、取締役の違法な職務執行行為により会社資本が減少するときは、株式の価格は、その限りにおいては下落する理である。しかし株式の価格決定の要因は、会社資本の充実の程度のみによるものではないから、会社資本の減少と株式の価格の下落との因果関係を立証することは至難に属する。そこで商法は、このような場合の株主の救済策として、株主の代位訴訟(第二六七条)の規定を設けた。株主は、これによつて取締役に対する責任を追求して、会社資本の充実を図り、株式の価格を維持することによつて、その権利を擁護できるのである。原告主張のような持株比率に対応した損害なるものを是認する根拠や必要は全くない。(岩村弘雄 舟本信光 原健三郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!