東京地方裁判所 昭和40年(ワ)8617号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕被告会社が被告車の所有者であつたことは、当事者間に争いがなく、<証拠>によれば、被告会社は当時被告車を修理のため東京トヨペット足立営業所に預けていたが、同営業所から被告会社に対し事故当日修理が完了した旨の連絡があつたのをたまたま被告会社に就職を希望し、採用面接を受けるべく郷里から上京し、被告会社の代表者が出張不在中のため、その帰来を待つていた被告粟野が聞き知り、勝手に同営業所へ赴き、被告会社の従業員であると称して修理完了した被告車の引渡を受け、これを運転して被告会社へ帰る途中で本件事故を惹起したものであることが認められる。右認定に反する<証拠>は信用しない。
以上のように、たとえ被告粟野はまだ被告会社の従業員ではなく、また被告会社としては被告車の引取りについて被告粟野に指示をしたことがないのはもちろん、なんら知るところすらなかつたとしても、もともと被告車の運行について支配力を有している被告会社は右に認定のような立場にあつた被告粟野が被告会社のため修理工場から被告車を引取つたことによつて、その支配力を奪われたとは認められないのであるから、被告会社は被告車を自己のために運行の用に供するものであつたということができる。(吉岡進)