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東京地方裁判所 昭和41年(ワ)10396号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔争いのない事実〕

一 死亡自動車事故発生

とき 昭和四〇年一〇月一一日午後五時二〇分頃

ところ 茨城県稲敷郡牛久町猪子一四番地先、国道六号線道路上(コンクリート舗装)

事故車 被告会社所有の六三年式ダットサン、普通貨物自動車、足・四・そ・四四五一号

右運転者 被告会社の従業員被告楢原、昭和一八年七月四日生

受傷死亡者 亡岩井吉男(ホンダカブ五〇CC原付自転車阿見町三三六七号運転中)大正元年一一月一六日生

態様 事故車は右道路を土浦方面から東京方面に向けて南進中、対向する亡吉男の原付車と衝突し、ために同人は受傷、翌一二日午前六時五〇分頃死亡した。

〔争点〕

(二) 相続関係

原告ヲ井は亡吉男の妻、同利夫は長男、同滋夫は二男、同信男は三男、同貞雄は四男としていずれも亡吉男の子、原告春一は亡吉男の実兄、同しまは亡吉男の実妹である。

〔判決理由〕一 責任原因

本件事故については後に判示するように亡吉男にも過失があつたことが認められるが、被告楢原が対向車両もあるのに危険をかえりみず先行車(梶山芳彦運転の軽四輪乗用車、八足あ・八九二六号)を追越そうとして、センターラインをおかした過失により惹起したものと認められるから、同被告は民法第七〇九条により、従つてもとより被告会社は自賠法第三条により亡吉男の死亡により生じた原告らの損害を物損につき民法第七一五条により賠償する責に任じなければならない。

(資料略)

なお被告楢原本人の供述ならびに甲第八号証の記載中には事故車の車輪はセンターラインをおかしておらず亡吉男がセンターラインをおかした旨のべるところがあるが、甲第一二号証の二(司法警察官作成の現場見取図)にはセンターラインをこえたことを示す明瞭なスリップ痕の記載があり、これが事故車のものであることを矛盾なく説明する甲第七号証(梶山芳彦の司法警察官面前調書)、甲第一三号証(実況見分をした石塚久雄の検察官面前調書)の各記載があるので、被告本人の右供述はにわかに採用できないところである。

二 相続関係

原告主張のとおりである。

(資料略)

三 亡吉男死亡による損害

亡吉男は本件事故により頭部外傷、右肋骨骨折、胸内出血その他全身打撲のため、ショック状態のまま翌朝死亡し、その運転していた原付車は破損したが、それらによる損害は左の限度で認められる。

1 逸失利益

合計金二、九四〇、〇〇〇円

亡吉男の死亡による逸失利益の死亡時における現価の総計を年五分の中間利息控除によるホフマン式計算により算出すると、次のとおり合計金二、九四〇、〇〇〇円となる。

稼働可能数一三年(死亡時五二歳)

収益 年間合計金五〇〇、〇〇〇円

(イ) 賃金収入

金三六〇、〇〇〇円

亡吉男は土木関係の日雇労務者として日当一、二〇〇円を得ていたから、一ケ月二五日稼働するものとして年間の賃金収入は右のとおりであつた。

(ロ) 農業収入

金一四〇、〇〇〇円

亡吉男は日雇のかたわら、余暇の労働を以て、妻原告ヲ井ならびに長男利夫(昭和一二年一月二日生)夫婦とともに畑約二町歩の農業に従事しており、昭和四〇年度における西瓜、各種麦、落花生の売上高、肥料購入額は原告主張のとおりであつたが、それらを考慮して、亡吉男の労働寄与率は約三〇%で、その労働の対価としての所得は年間右額であつたとすべきである。

控除すべき生活費

年間合計金二〇〇、〇〇〇円

亡吉男の収入、職業などから右額とした。

毎年の純収益金 三〇〇、〇〇〇円

300,000×9.8=2,940,000

亡吉男の右損害の請求権を原告春一、同しまを除く原告らは法定相続分に従い、左のとおり相続したものとすべきである。

原告ヲ井 金九八〇、〇〇〇円

原告利夫、滋夫、信男、貞雄

各金四九〇、〇〇〇円

四 過失相殺

ところで本件事故については亡吉男にも原付車を運転するに当り幅員約10.15メートルの、昼夜間を通じて車両往来の激しい幹線国道上の下り坂を漫然センターライン寄りに進行した過失が認められるが、事故車運転の被告楢原が亡吉男の原付車など数台の車両が近接対向してくるのを視認しながら危険な追越を試みてセンターラインをこえた過失の態様の重大さ・車種の対比、死にいたらしめた結果の重大性などから、遺族である原告らの損害請求につき各一〇%の過失相殺を適用すべきである。

(資料略)(舟本信光)

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