大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和41年(ワ)12215号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔争点〕原告らは被告の組合員であつたが、組合幹部と意見を異にし、定款第一二条第一項による自由脱退をなし、九〇日以上の予告期間を経過した事業年度の終り、即ち昭和三九年三月三一日に脱退の効力が生じた。ところで、同組合定款第二二条第一項には、「組合員の持分は本組合の正味資産についてもその出資口数に応じて算定する。」との定めがある。原告は右定款にいう組合の正味資産は時価により算定すべきであると主張し、被告は簿価によるべきであると抗争した。

判決は被告の主張を採用し、つぎのとおり説明した。

〔判決理由〕定款第二二条第一項にいう正味資産とは、被告組合が会計決算によつて正味資産と確定したもの、すなわちいわゆる簿価を指摘するものと解すべきである。なんとなれば、被告組合の財産は、債権を除きすべて、予想ないし見込まれた観念上の価格であつて、これをどれだけに評価するかはただちに組合の損益にも影響し、結局組合の運営に連る問題であるから、適式な管理機関の定めるところにまかされている。

もしこれをいわゆる時価で清算しなければならないとすれば、設立の時まで遡つてこの方式で持分の計算をしなおさなければ適正な結果を得られないわけであり、したがつてこれまで被告組合で確定された会計決算はすべて効力がないことにしなければならないわけであり、かかることは組合の運営に対する適式な手続によらない原告らのいわれもない干渉とみるほかはないのであつて、到底容認できない。原告のこの点の主張は理由がない。(渡辺一雄)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!