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東京地方裁判所 昭和41年(ワ)4611号 判決 1967年6月13日

原告 大内弥四郎

右訴訟代理人弁護士 河野宗夫

同 谷浦光宣

被告 金井保顕

同 常盤松美

右両名訴訟代理人弁護士 三根谷実蔵

同 峠野兪

主文

被告らは原告に対しそれぞれ金一一六、六六六円およびこれに対する昭和三八年五月三一日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。

原告の各被告に対するその余の請求を棄却する。

訴訟費用は被告らの負担とする。

この判決は第一項に限り仮に執行することができる。

事実

<全部省略>

理由

一、(一)<省略>を総合すると、大井軽合金は遅くも昭和三八年一月七日頃までに鏡通商に対し、約束手形一通金額三五〇、〇〇〇円、支払期日同年四月三〇日、支払地、振出地とも東京都品川区、支払場所城南信用金庫大井支店、振出日白地、受取人鏡通商なる手形を振出し、鏡通商はその頃これを株式会社岩井商店に裏書譲渡することにより同手形金に相当する金員を入手したこと、同手形はいわゆる融通手形であって大井軽合金は鏡通商から対価となるべきものを受領していないので、鏡通商の専務取締役であった原告に対し、原告その他役員が個人として鏡通商の大井軽合金に対する右手形金相当額の金員返還債務について保証すべきことをそのころ要求し、原告は鏡通商の代表者であった被告金井にこれを伝え、被告常盤も原告ないし被告金井から依頼され、けっきょく原告と被告両名が昭和三八年一月七日大井軽合金の代表者浅見米吉との間で鏡通商の右債務につき保証契約を締結したことが認められる。(昭和三八年一月初旬に被告らと大井軽合金との間に連帯保証契約が成立したことはその主債務が何であるかの点を除き被告らの明らかに争わないところである)。

(二) <省略>。

(三) 右(一)の事実によれば、約束手形の交付によって遅くとも昭和三八年一月七日頃までに大井軽合金と鏡通商との間に元本金三五〇、〇〇〇円、弁済期同年四月三〇日の金銭消費貸借契約が成立し、被告らは原告と共に右鏡通商の金員返還債務につき保証契約を締結したものであり、その保証は大井軽合金、鏡通商とも株式会社であるから商法五一一条二項によって主債務者との連帯保証となるものであることは明らかである。そして右連帯保証人三名の内部的負担の割合は他に格別の主張、立証のない本件では平等の割合と認めるのが相当であるから(民法四二七条)、被告らの負担部分は各自三分の一となること計算上明らかである。先に排斥した証拠を除き、これに反する証拠はない。

二、(一) そこで原告の弁済について判断するに、<省略>を総合すると、本件約束手形は満期日に手形交換所において支払のため呈示されたが鏡通商が満期までに手形金相当の金員を大井軽合金に弁済しなかったため、大井軽合金は手形の支払ができず不渡となり、原告は昭和三八年五月一日からさほど日数のたたない頃、遅くとも同月中に金三五〇、〇〇〇円を調達し、大井軽合金にこれを弁済し同会社をして当時の右手形所持人株式会社岩井商店から同手形を買戻させ、現在これを所持していることが認められ、これに反する証拠はない。

(二) 右の事実および前記一の各事実を総合すると、原告の大井軽合金に対する連帯保証人としての本件消費貸借債務全額の弁済によって、同じく連帯保証人である被告らの債務も消滅したものであるから、被告らは民法四六五条一項、四四二条一項により各自の負担部分に相当する金額につき原告の求償に応ずべき義務があることは明らかであるが、原告が弁済した日時の点は、五月中のいかなる日であるかを確定し得る的確な証拠がない本件では立証責任の帰するところに従い昭和三八年五月末日と認定するのが相当である。原告は同年四月末日に弁済したと主張するけれども甲第二号証および原告本人尋問の結果はいずれもこれを否定するものであり、原告のその余の全立証および本件のその他の証拠によっても右認定を左右するに至らない。

三、以上判断したところによれば、連帯保証人として主債務金三五〇、〇〇〇円全額を弁済した原告は同じく連帯保証人である被告らに対し、各三分の一の負担部分の範囲内である金一一六、六六六円およびこれに対する原告が弁済した日と認むべき昭和三八年五月三一日から右支払済まで商事法定利率の範囲内である年五分の割合による民法四六五条一項、四四二条二項所定の利息をそれぞれ請求できるものというべく原告の本件請求はこの限度で理由がある<以下省略>。

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