東京地方裁判所 昭和41年(ワ)739号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕原告の請求原因第一項の事実、被告等が株式会社統正社の代表取締役、取締役の職務代行者に選任された当時右統正社と原告の間に原告主張の訴訟(東京地方裁判所昭和三六年(ワ)第八八三七号)が係属しており被告石川泰三が代表取締役の職務代行者として右訴訟の原告代表者の地位を受けつぎ自ら弁論期日に出頭して弁論をなすなど実際に訴訟を追行したことそして又いずれも弁護士である被告斎藤清次郎、同小屋敏一を株式会社統正社の取締役の職務代行者のまま右訴訟における右会社の訴訟代理人に選任し、両被告も亦訴訟代理人として積極的に訴訟追行をなしたこと、右訴訟における当事者双方の主張が原告主張のような内容のものであること、被告等は右訴訟を追行するようになつてから原告主張のような攻撃防禦方法を新たに提出したこと、その攻撃防禦方法が採用されて株式会社統正社の請求を認容する判決がなされたこと、以上の各事実は被告等において明らかに争わないのでこれを自白したものとみなす。原告は、被告等が右の訴訟を自ら積極的に追行したことは会社の業務に属しないことをしたものであり職務代行者としての中立義務に違反する旨主張する。しかしながら右訴訟はその内容から見て株式会社統正社が自己の財産を保存するために提起したものと認められ、訴訟の方法で会社の財産を保存することは会社の業務に属するものと認められるのであり、従つて被告斎藤清次郎、同小屋敏一が弁護士として右訴訟における代理人なり訴訟を積極的に追行することは職務代行者としての義務にいささかも牴触するものではない。(中田早苗)