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東京地方裁判所 昭和41年(ワ)942号 判決 1967年2月28日

主文

被告は、原告に対し、別紙目録記載の建物を収去して同記載の土地を明渡せ。

原告のその余の請求を棄却する。

訴訟費用は被告の負担とする。

事実

原告訴訟代理人は、「被告は、原告に対し、別紙目録記載の建物(以下「本件建物」という。)を収去して同記載の土地(以下「本件土地」という。)を明渡し、昭和四一年二月九日から右明渡済まで一月二、〇〇〇円の割合による金員を支払え。訴訟費用は被告の負担とする。」旨の判決と仮執行の宣言を求め、請求の原因として、

(一)  本件土地はもと被告の所有であつたところ、被告は昭和二五年一〇月一四日頃訴外丸山義一に代金二〇、〇〇〇円で売渡して同月一六日これが所有権移転登記を経由し、次いで原告は、同三五年一〇月五日丸山から代金一、〇〇〇、〇〇〇円で買い受け、同三七年一月二三日その旨所有権移転登記を経由し、現に本件土地を所有している。

(二)  被告は本件土地上に本件建物を所有して右土地を占有している。

(三)  本件土地の賃料相当額は一月二、〇〇〇円である。

(四)  よつて、原告は被告に対し、本件土地の所有権に基づき、本件建物収去本件土地明渡と本訴状送達の翌日である同四一年二月九日から右明渡済まで一月二、〇〇〇円の割合による賃料相当損害金の支払を求める。

被告の主張事実を否認する。

と述べた。

(立証省略)

被告訴訟代理人は、「原告の請求を棄却する。」旨の判決を求め、答弁および主張として、次のとおり述べた。

一、請求原因事実中

(一)は被告所有の本件土地につき原告の主張の各登記が経由されていることは認めるが、その余は否認する。

(二)は、認める。

(三)は、争う。

二、被告は、訴外丸山義一との間において、訴外山田正雄が丸山から二〇、〇〇〇円を借り受けるに際し、本件土地を担保に供することを約し、丸山に被告の白紙委任状、印鑑証明書等を差し入れたところ、丸山は右委任状等を濫用して同人名義の所有権取得登記を経由した。

丸山と原告間の原告主張の売買契約は、原告は丸山の使用人で資力がなく、両名が通謀して右契約をしたかのように仮装したものであり、虚偽表示によるものであるから、無効である。

(立証省略)

別紙

目録

一、土地

東京都中野区宮園通三丁目一七番の八

宅地     二五坪

二、建物

前記三丁目一七番地

家屋番号同町一七番

木造瓦葺平家建居宅

建坪九坪(実測、一四坪二合五勺)

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