大判例

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東京地方裁判所 昭和41年(手ワ)2285号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕そこでまず裏書の連続の有無の点についてみるのに、原告は第一裏書人三共交易株式会社代表取締役南須原清正の表示中、右会社及び代表取締役の記載は無用無効のものであつて、受取人と第一裏書人との記載は同一人格を表わすものと主張するけれども「代表取締役南須原清正」という表示は三共交易株式会社の機関を意味するものであり、しかもその名下には右会社代表者印が押捺されていることは原告がみずから主張するところであるのみならず、右会社が存在しないことの証明はないので、たとえ右裏書らん内に南須原清正の個人印も併せて押捺してあつたとしても、右裏書人が単に南須原清正という個人を表示するものとは認められない。右裏書らんにおける会社名および代表取締役の肩書記載を南須原清正個人の職業、地位、住所等特定のための記載と解するならば、その名下における代表取締役印を押捺した意味が理解できないからである。

原告は第一裏書らんに別に、前記会社名、代表取締役の肩書および代表取締役印と並らんで南須原清正個人の認印が押捺されているから、これにより受取人たる南須原清正個人の裏書を認めることができ裏書の連続に欠けるところはないと主張するが、その印が右個人印であることの証明がないのみならず、単に認印の押捺のみをもつて裏書人の署名又は記名捺印に代えることは裏書人としての特定性を識別するのに不十分であり、強いていえば、或は同人が個人として裏書する予定であつたと想像しうるに止まり、却つて、右両者の捺印があること自体三共交易株式会社代表取締役南須原清正と南須原清正とは人格を異にすることが意識されていたことも想像され、認印が押捺してあるとしても、そのことは右裏書が右個人によるものと断ずる資料とはなし難い。

以上によれば、裏書の連続による原告の権利取得を推定することはできないし、別に南須原清正と三共交易株式会社との間に実質的に権利承継のあつたことの証明のない本件にあつては、原告は正当な本件手形の所持人であるとするわけにはいかない。(畔上英治)

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