東京地方裁判所 昭和42年(モ)2928号 判決
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〔判決理由〕してみれば、債務者は債権者の本件実用新案権を侵害しているといわざるを得ないから、債権者は債務者に対し侵害の停止を止める権利を有する。
よつて、本件仮処分の必要性の有無について検討すると、<証拠>を総合すれば、つぎの事実を一応認めることができる。
本件実用新案の考案者は債権者であるが、債権者はそれを企業化するためKとともに昭和三八年九月一三日日本バッグ株式会社を設立し、同社に通常実施権を許諾し、債権者は日本バッグから売上高の五%に当る実施料を受取る契約を結んだ。日本バッグは同年一〇月頃から製造を始め全国的に販売したが、翌三九年初め頃から各地に同じ構造の模造品が比較的安価に出廻り、債務者もまた昭和四一年春頃から後垣賢一製造の本件物件を少くも一カ月三、〇〇〇枚使用し販売している。これらが重なつて、日本バッグの販売は妨げられ、その売上枚数は一カ月約二五、〇〇〇枚、売上高は約四〇〇万円にとどまり、予期どおりの営業成績を挙げることができず経理状態も思わしくない。そのため、昭和四一年頃から債権者は実施料のうち二%しか受け取つておらず、この状態が続くならば残額三%分の支払を受け得なくなるおそれがある。
以上のとおり、債権者が実施料を得るについて障害が生じ損害を被つているが、債権者が債務者に対し実用新案権の侵害として損害賠償を請求するとしても、債務者の使用販売状況を適確に把握してそれを基として損害額を立証することは実際上相当困難であることは明らかであるから、債務者の使用販売をも差し止めなければ債権者の損害は累積し著しい損害を被ることになるであろうと一応いうことができる。一方、債務者は、本件仮処分を受けても本件物件はある程度代替可能のものであるから、その損害は比較的軽微にとどまるものといつてよい。
してみれば、債権者が本件仮処分を求めるについてその必要性があるということができる。
四 以上のとおり、本件仮処分申請はその被保全請求権および保全の必要性が一応認められるから、さきになされた仮処分決定を認可……する。(古関敏正 吉井参也 小酒礼)