東京地方裁判所 昭和42年(ワ)11090号 判決
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〔判決理由〕……本件特許発明は、プリーツスカートの製造方法であつて、
1 スカート布地を腰廻りの曲線に対応するように立体的に型付けを施すこと
2 この型付けは、プリーツセット時に行うこと
の二要件から成るものであつて、その効果は、プリーツスカートの腰廻りを着用者の腰廻りの曲線に一致した形状に立体的に型付けすることにより、プリーツスカート着用時、ウエストラインからヒップラインにかけて不自然かつ不体裁な襞の集まりの生じるのを防止し、着用感がよく体裁のよいプリーツスカートを簡単に製造できることにあることが認められる。
前記1の要件中「立体的に型付けする」との意味について原告は、スカート布地を腰廻りの曲線に対応するように型付けすることと同意義であると主張し、被告は、着用者の腰廻りの曲線に対応する立体的曲面を有する二枚の襞付き型紙の間にスカート布地を挾圧成型することであると主張する。しかし、発明の詳細な説明の項の記載によれば、従来、機械襞付けおよび型紙襞付けによつてプリーツカートを形成する場合、布地を平面に折り畳み縫製によつて腰廻り寸法にいせこみ、腰廻りにあわせていたもので、出来上つた製品は、ウエストラインとヒップラインとの間に不自然な襞の集まりが生じ、不体裁な感じを免れなかつたので、本件特許発明は、この欠点を除去することを解決すべき課題とし、簡単な工程で、着用者の腰廻りの曲線に一致した立体的な型付加工が施され、着用者の腰廻りに不自然な襞の集まりの生じない体裁のよいプリーツスカートを供することを、その目的とするものであつて、これを前記特許請求の範囲記載の方法で解決したものであること、そして、この方法の実施として、本件特許明細書に開示された技術は、着用者の腰廻りの曲線に対応した形状に曲成さ例た立体的な雌雄両プレス盤を使用するか、前身頃もしくは後身頃の腰廻りの曲線に対応するように曲成された前部もしくは後部の雄型および雌型を使用するものであることが認められる。この事実に、前掲本件特許発明の効果を加味勘案すれば、前記「立体的に型付けを施す」というのは、結局、着用者の腰廻りの曲線に対応した形状に曲成された立体的な型を使用して型付けすることを意味するにほかならない。
このように見てくると、本件特許発明の技術的範囲は、①着用者の腰廻りの曲線に対応した形状に曲成された立体的な型を使用して型付けすること、②この型付けはプリーツセットの時にすることを内容とするものといわなければならない。
三 しかるに、被告方法では、この着用者の腰廻りの曲線に対応した形状に曲成された立体的な型を使用しないものでありしかも、被告方法は、前身頃および後身頃用布地の下端からヒップラインまでの部分にのみプリーツセットを施した後、同布地を型紙から取り出し、各身頃の脇線を別の型紙に合わせて曲線状に裁断してこれを縫着し、所望のプリーツスカートを製造するものであることは、被告実施の方法を記載したものであることにつき当事者間に争いのない別紙目録記載の図面と説明書から明らかであるから、被告方法は、本件特許発明の前記12の要件を備えない別個の方法といわなければならない。被告方法は、本件特許発明の技術的範囲には属しない。
四 よつて、原告の本訴請求は、理由がないからこれを棄却する。
(荒木秀一 野沢明 元木伸)